ACW2 News
労働者派遣法に関する法案要綱に対する緊急声明
本法案要綱に対して、ポイントだけ問題点を指摘する緊急声明を
作りました。みなさんの現場の声を国会議員に届けましょう
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0218-10.html
・第145回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会資料
http://files.acw2.org/100218.doc
2010年2月18日
厚生労働大臣 長妻 昭 殿
働く女性の全国センター
緊急声明
公約違反の労働者派遣法改正案の修正を要望します。
厚生労働省労働政策審議会に、政府が諮問した労働者派遣法改正案(法案要綱)は、私たちが望んでいた派遣労働者の権利を保護するための規制強化に対して、例外を設けることで無化した抜け穴だらけの内容になっています。また、審議の段階で、論点にすることなく、事前面接の解禁や、みなし雇用規定に対しても例外を設けるなど現行法からも後退する内容が含まれていることは、許されない内容であり、公約違反といわざるを得ないものあり、強く抗議し修正を求めます。
また、審議会開催に当たっての傍聴申し込み案内を締め切り直前にHPにアップするなど、関係者に広く知らせようとしていたとは言い難く、経営者団体・労働団体の一部のみに情報公開するなど、政労使の合意原則から大きく外れた密室審議という状況であります。これは本来の政労使の委員は、すべての国民の代表としての委員である点を無視した行為であり、ILO条約の三者構成の定義にも反するものです。
国会審議では、下記の問題点について、再度、審議を尽くされるように要請いたします。
(1) 例外規定の問題点について修正を求めます。
1.「第一 、八 期間を定めないで雇用される労働者に係わる特定を目的とする行為」について
この項目については、政権交代後の審議会において、20年法案と3党案の比較表において、論点としてあげていません。論点にあげていれば、多くの反対意見が出たものです。ところが、反対意見を回避するために意図的に論点から外し、「20年法案をベースにしている」から、追加が当然ということにはなりません。「期間を定めない」とは、無期契約のことなのか、有期契約で期間制限を設けていない労働者のことなのか明確にしてください。従来禁止されていた派遣労働者を特定する行為の解禁は、規制緩和であり、雇用関係にない派遣先が派遣労働者を差別的に選別し、採用行為を行いながらも雇用責任を免除されるという仕組みであり、派遣労働者を保護するどころか、差別を追認するものとして強く反対します。
むしろ、派遣先の責任強化が抜け落ちているので、きちんと盛り込むべきです。
2.「第一、十五 日雇労働者についての労働者派遣の禁止」について
日雇い派遣では、時間単価が高くとも、まとまった収入を得にくく、日々の生活費として消失していくため、結果として家賃を支払えなくなって住居を失うなど、生活もできなくなってしまう事例が後を絶ちません。また、日々就業と失業を繰り返す不安定さが心身の健康に多大な影響を及ぼすケースも多く、全面禁止とすべきです。政令業務を例外とすることは、日雇い派遣の抜け道にされてしまいます。
3.「第二、一、労働者派遣事業を行ってはならない業務の追加」について
物の製造の業務において、常用雇用を例外としていることは、製造業務における派遣労働を恒常化させていくものであり、規制強化に逆行するものといえます。
この条文においても、常用雇用の定義を無期契約とすべきであり、期間の定めのある労働者が契約更新を繰り返せば「常用」とし、雇い止めしたい時には、いつでも雇い止めできる状態を担保していることと同然であり、これでは抜本改正とはいえません。すべての製造派遣を禁止すべきです。
4、「第二、三、常用雇用する労働者でない者についての労働者派遣の禁止」について
登録型派遣の禁止における専門業務の例外規定は、これまでも企業の抜け道を許してきました。また期間制限のない専門業務を例外規定とすることで、業務内容は明らかに一時的臨時的業務に該当する一般事務や庶務の仕事でありながらも、書類上では事務機器操作、ファイリング、財務処理などという専門業務を偽装し、女性の多い職種において正社員の代替として使われているのが現状です。専門26業務の例外規定を設けることを削除してください。
また、紹介予定派遣で派遣された労働者のうち、正社員に登用される割合は少なく、労働者保護とはなっていません。6ヶ月という短期間で使い捨てるための道具とされたり、病院における医療行為など一般的派遣の禁止業務に脱法的に派遣するために悪用されるなど、正社員登用に役立っていません。
(1) 労働契約申し込みみなし制度の創設と、適用除外の問題点
「十八 期間を定めないで雇用される労働者に係わる派遣先の労働契約申込義務」
この規定も、政権交代後の審議会において、論点整理の際、明確にしていなかったものであり、「期間の定めのない雇用であることを通知すれば、雇用申込義務を適用しない」とすることは、許されるものではありません。現行法より後退するものです。
平成16年改正の現行法では、同一場所同一業務で3年以上派遣労働者を受け入れている派遣先は、新たに直接従業員を雇用するときは、派遣労働者を優先雇用する雇用申込義務があったところ、「当該派遣労働者について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を受けている場合は、これを適用しないものとする」
とされており、通知するという抜け道によって、雇用申込義務を免れるものであり、労働者保護と逆行する内容であり、許されません。
「十九 労働契約申し込みみなし制度の創設」
現行法においても、みなし雇用について、直接雇用であっても有期雇用であるために、数ヶ月で雇い止めされている事例が後を絶ちません。派遣先の無期契約として雇用するのでなければ、今後も、違法行為を規制することができません。みなし雇用は、ペナルティであることを前提にして無期契約とすべきです。
(1) 均衡を考慮した待遇の確保について
均等待遇原則は、世界の常識です。日本政府は、均等待遇原則に戻るべきです。
イギリスでは、今年1月に新規則が成立しました。その内容は、12週を経た派遣労働者に対して、派遣先での均等待遇を進めるという内容です。これは、2008年2月に施行されたEU(欧州連合)の派遣労働者指令を受けた措置で、新たな規制の柱は、12週を経た派遣労働者に対する均等待遇の義務化。派遣先企業に直接雇用されていれば適用されるべき賃金水準や労働時間などの諸権利を保障することとしています。
これは、使用者側が法規制を逃れるため、こま切れ雇用を繰り返したとしても、その期間は通算され、合計で12週になれば均等待遇原則が適用になります。政権交代に国民が期待していることは、EUに見習うべきことではないでしょうか。
下記に、私の一言を送ってください。
具体的な事例を送って議員に訴えましょう
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厚生労働省 https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html
民主党 https://form.dpj.or.jp/contact/
社会民主党 http://www5.sdp.or.jp/central/inq/inq.htm
国民新党 http://www.kokumin.or.jp/opinion/
自由民主党 https://youth.jimin.or.jp/cgi-bin/info/meyasu_form.pl
公明党 https://www.komei.or.jp/contact/index.html
日本共産党 info@jcp.or.jp
みんなの党 info@your-party.jp