ACW2 News
パートタイム労働法国会審衆議院議議事録抜粋 2007年4月4日
第10号 平成19年4月4日(水曜日)
平成十九年四月四日(水曜日)
午前九時開議
政府参考人
(厚生労働省労働基準局長) 青木 豊君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局長) 高橋 満君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 大谷 泰夫君
政府参考人
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第九号)
――――◇―――――
○櫻田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外二名提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、来る十日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省医政局長松谷有希雄君、医薬食品局長高橋直人君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長高橋満君、雇用均等・児童家庭局長大谷泰夫君、年金局長渡辺芳樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○櫻田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡資麿君。
○福岡委員 自由民主党の福岡資麿と申します。
本日は、大変重要な法案の委員会審議において冒頭に質問の機会を与えていただきましたことを、心より感謝を申し上げます。
私は、昭和四十八年、一九七三年生まれであります。いわゆる団塊ジュニア世代、第二次ベビーブーム世代と言われるところで生まれました。私が生まれた年というのは、出生数二百九万人ということでございまして、団塊の世代以降でいいますと、一番人口が固まっている世代に生まれた者であります。
しかしながら、私たちが大学を卒業して就職をするときは、就職氷河期と言われる大変厳しい時代でした。普通に四大を卒業すると一九九六年になるんですけれども、そのときの四大の就職率が六四%と非常に低い数字の中で、就職先がなく、やむを得ず非正規社員になった私の知り合いとかもたくさんいるわけです。
そういった社会現象の中で、今、少子化問題等が社会現象として問題になっておりますけれども、私たちの世代は結婚をしないということも言われておりまして、その大きな理由の一つに、経済的に自立できていないということであったり、また将来的な不安ということを理由にする方がたくさんいらっしゃいます。
やむなく非正規社員となった方々に対して、均衡ある待遇を確保することや社会保険を適用していくこと、また非正規労働者の正規労働者への転換の道の確保というのは、さまざまな社会問題に関連するとても重要なテーマだというふうに思っています。また、それは安倍政権が掲げる再チャレンジの柱の一つであるというふうにも承知をしております。また一方で、価値観が多様化する中で、自由度の高い就業機会を望む労働者もふえてきていますし、企業にとっては、業務内容の特性に応じた雇用を可能とすることは、ともに有益なことというふうにも言えます。
しかし、今や働く人の四人に一人とも言われる、いわゆるパートと言われる層が、低い労働条件をのむことを余儀なくされているとしたら大変問題であるというふうに思っておりまして、この法律にうたわれています均衡のとれた待遇ということを、題目だけでなく実のあるものとしていくことがとても重要であるというふうに思っております。
そういった観点から本日は質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。基本的に政府案を中心に質問させていただきまして、若干、民主党の案にも質問させていただきたいというふうに思っています。
質問の順番を若干変更いたしまして、まず、均衡待遇ということにつきましてお伺いをしたいと思います。
政府案の理念というのは、均衡待遇というふうになっています。この均衡待遇というのは大変重要な理念でありますけれども、均衡を図るという言葉だけでははっきりとしない部分が多いというふうに思います。
どのような労働者にどのような措置を講ずるのか。何をもって均衡というのか。そういった抽象的な概念をきめ細やかに、そしてわかりやすく明らかにしていくことが大切であると思いますが、その点につきまして政府案はどのように考えているのか、御説明をいただきたいと思います。
○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
パート労働者の就業の実態は極めて多様でございます。管理職としての役割を担い、または担い得るような方もおられますし、また一方、短い時間で、あるいは補助的な仕事をする方まで、非常に多様な方がおられます。
政府案におきましては、こういった実態を踏まえまして、一つは、すべてのパート労働者を対象とした均衡待遇を確保する、特に正社員と同視できる、同じと見ることができる働き方をしておられる方を対象とした差別的取り扱いの禁止、これを求めることとしております。また、パート労働者の働き方につきまして、職務の内容あるいは人材活用の仕組みなどによりまして、正社員と比較してどのような労働者にどのような措置を講ずべきか、法律上、きめ細かに規定しているところでございます。
○福岡委員 政府案では、パート労働者を幾つかのカテゴリーに分けて、正社員との働き方の違いに応じてグラデーションをつけていくというような考え方を承っております。
この点につきまして、民主党案についてひとつ質問させていただきたいと思いますが、民主党案では、すべてのパート労働者に対して差別禁止ということをうたっておられます。差別禁止というのも大変立派な理念でございますけれども、差別禁止という言葉だけではどういったことなのかはっきりしないというふうに思っておりまして、具体的にどのような労働者にどのような措置を講じていかなければいけないのかということが民主党の法案だけを見ていてもわからない状況です。
どのような労働条件が差別に当たるのか、そういった具体的なお考えについてお聞かせいただきたいと思います。
○西村(智)議員 御質問いただきました、具体的な考えはあるのかということでありますけれども、私たち提案者といたしましては、政府案においても実際にどういう具体的な差別禁止、均衡処遇を行うのかということについては明らかではないというふうに承知をしております。具体的なことについては、政府案第十四条で、指針において定めるというふうになっております。
そこのところをぜひ御理解いただいた上で、私たち民主党の考え方について御答弁申し上げますと、民主党案におきましては、すべてのパート労働者を対象として差別的取り扱いを禁止するとはいいましても、すべてのパート労働者の賃金等を、就業の実態の違いを無視して、全く正社員と同じにするということを考えているわけではありません。その仕事の内容や転勤のあるなし、言ってみれば、職務の範囲、責任の大きさなど、就業の実態に応じてある程度の違いが生じることを包含しているという考え方でございます。そうした就業実態に応じた比例的な取り扱い、比例的な平等であれば許されるものと考えております。
しかし、通常の労働者と異なる待遇が許容されますのは、どのようなパート労働者についても、その就業実態に応じた比例的な取り扱いとして許容される範囲においてでありまして、その限度を超える不合理な取り扱いは許容しないという基本的な考え方をお示ししているところでございます。
○福岡委員 まず承っていて感じましたのは、政府案もはっきりしない部分が若干あることは確かでございますけれども、ただ、民主党案につきましても、まさに指針において定めるという言い方で、どのような層に対してどのような措置を講じていくのかというのが、私が聞いていてもはっきりしないというふうに思っていまして、その点をしっかり明らかにしていくということが大切だと思っております。
民主党案についてもう一点お聞きさせていただきたいと思いますが、同一価値労働同一賃金ということをうたわれております。これも何をもって同じ価値とするのかというのが全くわかりませんで、何を同じ価値というふうにみなすのか。また、価値が同じというのをだれが定めるのか、だれが決めるのかといったことも全く見えてこないわけでございます。その点につきましてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○小宮山(洋)議員 同一価値労働同一賃金、何をもって同一価値の労働とみなすのかはっきりしないということですが、お答えをしたいと思います。
同一価値労働同一賃金の原則というのは、異なる職種、職務であっても、労働の価値が同一または同等であれば、その労働に従事する労働者に、就業形態の違いにかかわらず同一の賃金を支払うことを求める原則というふうに言われております。
それで、何をもって同一の価値の労働と評価するのかにつきましては、多くの国でその分析的な職務評価方法がとられておりまして、例えばカナダのオンタリオ州では、一つは知識、技能、二つ目に精神的、肉体的負荷、三つ目に責任、四つ目に労働環境といった四つの要素をもとにしまして、四百に上る項目で、これはペイエクイティー法という中にきちんと定められておりますが、異なる職種や職務の価値を比較してやっております。こういう実例が海外にもございます。
日本でも、これは男女差別の判例ですけれども、平成十三年九月二十日、京都地裁で京ガス事件の判決というのがございまして、これは、コンピューターを扱う仕事をしている女性が、同期入社、同年齢の男性、この男性は現場監督をしていると承知をしておりますけれども、それと比較をして差別を受けたとして、会社に、不法行為に基づいて差額賃金相当額の支払い等を求めたものなんです。このときに、明らかに職種の異なる職務について価値的な評価を行って、同一価値であることを認めた画期的な判決が出ております。
この場合は、原告の女性と男性社員の職務の価値評価をするに当たりまして、両者の職務内容を具体的に認定して、各職務の遂行の困難さの判断について、今のカナダのオンタリオ州と似ているんですけれども、一つは知識、技能、二つ目に責任、三つ目に精神的な負担と疲労度、これを主な比較項目として設定しまして、このカナダのペイエクイティー法を研究している森ます美教授の鑑定意見書や被告の会社の管理職二名の証言、原告本人尋問などに基づきまして、原告と男性社員の従事している職務の困難さにさほどの差異はないと認定しまして、各職務の価値に格別の差はないと認め、おおむね八五%が原告の本来受給すべき賃金額と認定をしておりまして、この件については、平成十七年に、これを多少上回る形で会社側と和解をしている、こういう例が日本にもございます。
それで、だれが決定するかということにつきましては、これは本会議でもお答えをいたしましたけれども、パート労働者と通常の労働者の均等待遇の確保、これは各事業所ごとにその物差しではかる仕組みをつくらないと、日本の働き方では難しいので、今回私どもは、各事業所の中に検討委員会を設けて、事業主の代表、それから正社員の代表、パート労働者の代表が入りまして、そこで個々の事業所ごとに労使間で協議をして定めていく。
このような形のものは、日本の中で同一価値労働同一賃金を定める物差しがない中で、これで最初からすべてうまくいくとは私どもも思っていませんが、政府案は何もそのことについて提示をしていない中で、私どもは一歩踏み込んで、日本で考えるとすれば、同一価値労働同一賃金を定めるには、こういう物差しを設定する仕組みをここに入れたということを御評価いただきたいと思っております。
○福岡委員 今お話を承っておりまして、まず、同一価値労働というのは、確かに欧米においてはそういった概念があることは承知をしておりますけれども、日本では全くそういった基準というのが、今社会上は構築されていないわけでして、それをどうするかというのは非常に大きな問題だと思っています。
また、今おっしゃいました民主党案においても、一般の正規社員の方と非正規社員の方々の待遇を同じにしていこう、均衡にしていこうという概念のもとで、本当に職場の中で、正規の代表、非正規の代表ということで分けて集まっていただいて、そこで議論を、それぞれの利益を代表するということで分けるということが、お互い一緒のことを目指す概念からすると、どうなのかなということを私は思うわけでございます。
もう時間も結構たっておりますので、ちょっと政府案について質問をさせていただきたいと思います。
まず、政府案につきまして、パート労働者の待遇については、このたび事業主に説明責任が課されることになりました。実際にパート労働者の方々は、だれからどのような説明を受けられることになるのかといったことにつきまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
パート労働というのは、短時間でありますことから多様な働き方になりますため、一律の雇用管理を行いがたい雇用形態であります。個々の労働者の労働条件が、就業規則のみによっては明確にならないという場合も多いと考えております。
このため、パート労働者が、みずからの処遇がどのような事項を考慮して決定されているかということについて疑問を持っても、通常はその説明を事業主に対して求めるということはなかなかなくて、十分に納得できないまま働いているケースが現状では少なくないというふうに見られているところであります。このような状況ではパート労働者がその有する能力を十分に発揮しがたいということで、その納得性を高めますために、本改正法案では、パート労働者が、みずからの待遇の決定理由について事業主に対して説明を求めることができるとしたものでございます。
また、合理的な理由のない待遇をしている事業主は、説明を求められた際にきちんと応じることができないということも想定されるわけでありますが、そういったことが明らかになりました場合には、パート労働法上の義務を履行していないものとして行政指導等の対象となりますので、この説明責任によって、不合理な待遇を抑止するという効果が相当期待されると考えております。
○福岡委員 この点、しっかりと対策を講じていただくことが必要でございまして、今おっしゃったように、このたびの一番大きな進展、前進の一つは、待遇の違いを要求に応じて説明しなければならないということが定められたことだというふうに思っています。それをしなければいけないことで不均衡な処遇を行いづらい環境を職場の中でつくっていくという意味では、この点をしっかり機能させていくことをお願いさせていただきたいというふうに思っています。
次に参ります。
今回、いろいろな均衡の待遇という中で、正社員と同一視できる労働者の方々に対して差別的な取り扱いの禁止ということが定められました。これは、幾つか要件がございまして、例えば、仕事の中身とか責任であったり、人事異動の有無であったり、また契約期間といったことがその要件として挙げられているわけです。
契約期間につきましては、期間の定めのないパート労働者を対象とするというようなことがうたわれておりまして、また一方で、有期的な契約であっても、それを反復継続して更新して無期と同等にみなされるものについては、対象にするというようなことも言われているわけでございます。これは一般的に、今、契約上無期というのは約三割ぐらいと言われていまして、実態上、反復継続してずっとその雇用につかれている方、その方がしっかりと均等待遇の中に入っていく、差別禁止に入っていくという措置を講じていくことが、この法案にとっては非常に重要な点であるというふうに思っています。
そういう意味では、有期契約を反復更新している人にも光を当てていく観点から、政府はどのように考えているのかということについて、お聞かせをいただきたいと思います。
○大谷政府参考人 お答え申し上げます。
日本の雇用システムにおきましては、主に、ある程度長期の雇用を想定して、人材育成を行うとともに待遇の決定が行われております。通常の労働者と同視すべきということであるかどうか、それを見る指標としまして、ある一時点における職務内容だけではなくて、それが長期に見てどうなるかという観点も無視できないということから、今回の改正の中で、職務の内容、それから人材活用の仕組みのほかに、契約期間という要件を定めたところでございます。
この契約期間の考え方について、今御指摘があったところでありますけれども、今回の法律の改正では、期間の定めがないという契約のみならず、期間の定めがある契約であっても、反復更新することにより期間の定めがない場合と同視できるものを含むということを法文上も明記いたしたところでございます。
○福岡委員 その反復継続、どういう場合がそういった事例に当たるのかということを、今後しっかりとつまびらかにしていただきたいというふうに思っております。
次に参ります。
今回の法改正で、パート労働者は、自分の待遇に関して不均衡ではないかという疑問が生じた場合、そういったいろいろな不満が生じた場合はどこが相談の窓口になるかということについてお伺いをしたいと思います。
当然、労使関係というのは利害が対立するわけですし、使用者側も善意なところばかりとは限らないというふうに思っておりまして、そういった労働者に不均衡な待遇をもし強いる企業があったとすれば、そこで立場の弱い労働者が泣き寝入りをしてしまうようなことがあっては一番いけないことだというふうに思います。
そういった観点から、どこに相談に行けばしっかりと話を聞いてもらえるのか、また、話を聞いてもらった結果問題があるとすれば行政としてどのように対応していくのかといったことにつきまして、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 今回の法律におきましては、新たに「紛争の解決」という章を一章設けているわけでございます。
紛争解決のプロセスの基本は、まず第一には苦情の自主的解決ということでありまして、そういう事業者は、短時間労働者から苦情の申し出を受けたときには、苦情処理機関というものを組成しまして、そしてその処理をゆだねる等自主的な解決を図らなければいけませんよということが、いけませんよというか、努めるんですよということが書いてございます。
それからその次に、そういうことでもなかなかうまくいかないという場合には、今度は都道府県労働局長に対していろいろな働きかけをすることによって、この局長が紛争の両方から援助を求められるという形になりまして、紛争の当事者に対して必要な助言、指導、勧告を行うことができる、こういうことでございます。
それと、苦情の申し出あるいは援助の申し出をした短時間労働者がその後事業主によって不利益取り扱いにならないようにということも念のため書いてございますけれども、いずれにいたしましても、したがいまして、相談ということになりますと、都道府県労働局というものが非常に大きな存在になっているということは、この法文の規定からも明らかでございます。
具体的には、雇用均等室というものがございます。雇用均等室のスタッフでは少ないのではないかと言う方も、そういう御指摘もありまして、全国に約三百カ所設けられている総合労働相談コーナーということで、よろず相談所のようなところが設けられておりますから、基本的にはここに相談をしていただくということがよろしいかと思うわけでございます。それがさらに専門的ないろいろな問題に深まっていった場合には、あくまで雇用均等室それから労働局全体で適切に処理する、こういう体制でこの法律の執行に万全を期してまいりたい、このように考えております。
○福岡委員 不満がありましたときに、本当に身近なところに気軽に相談に行ける窓口をたくさん設けるということは大変必要なことだというふうに思いますので、そういった観点からも施策を進めていただきたいというふうに思っておりますし、今回の政府案におきましては、企業にとっては努力義務の部分におきましても行政指導の対象になるということでございますので、そこで利害が対立した場合に行政としてもしっかりと光を当てて話し合いに応じていくという姿勢をしっかりと明示していただきたいというふうに思います。
次に参ります。
今、経営環境の非常に苦しい中でも、均衡待遇の確保に積極的に、自主的に取り組もうとしているいろいろな企業が出てきております。具体的な例を挙げますと、アパレルのワールドさんであったりユニクロさんであったり、そういった方々が非正規社員を正規社員に転換していくという施策を独自に講じておられるということは大変すばらしい流れだというふうに思います。このような事実を報道等を通じて広く知らしめていくことで、労働均衡に取り組んでいる企業のイメージがアップしたりすることで、それがその企業の業績の改善等につながっていくようなことができれば、その後に続いていく企業もどんどん出てくるだろうというふうに考えています。
しかし、そうはいっても、大手企業はいいんですけれども、中小企業、中小零細企業等は必ずしもそうはいかないのではないかというふうに思っていまして、景気回復の波も中小企業、中小零細企業にはまだまだ届いているとは言えない中で、均衡のための負担の増加ということに耐えられない中小企業もたくさんいるのではないかというふうに推測をされます。また、中小企業であれば、そういった措置を講じることによるイメージアップによる業績効果というのもさほど期待できないわけです。
しかしながら、その中小零細企業でも積極的に均衡処遇に取り組んでもらう必要性を考えると、そういった熱心に取り組む中小零細企業に対しても、国の支援というか、国がしっかりと光を当てていくということが必要だというふうに思っています。
昨日の質問にもありましたが、具体的に国としてどのような支援を行っていくつもりなのかといったことにつきまして、お伺いをさせていただきたいと思います。
○大谷政府参考人 今回の法案を作成する過程の中でも、経営が非常に苦しいという中小企業がある中で、しかし、今回の法律の趣旨に御理解いただいて、今回政府提案のところまでこぎつけたというのが実情でございます。
今御指摘がありましたとおり、中小企業の負担軽減というのは非常に重要な課題であると考えております。このため、今回のパート労働法の改正を受けまして、パートタイム労働者の均衡待遇を推進しようとする中小企業そのもの、またその中小企業団体、こういったものに対しまして、法に基づく指定法人であります短時間労働援助センターを通じまして助成金を支給し、支えていきたいということを考えているところでございます。
○福岡委員 ぜひともしっかりとした対策をお願いさせていただきたいというふうに思っております。
もう時間も参りましたので、最後に大臣に質問させていただきたいと思います。
冒頭も申しましたように、この法案は大変重要な法案でございまして、また、安倍政権が掲げる再チャレンジ施策の大きな柱を占める重要な法案でもございます。そういった観点から、今回のこのパート労働法の改正に対しましての大臣の決意、そして意気込みにつきまして、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 最近の労働市場の特徴ですけれども、一つは、グローバリゼーションの中で、日本の企業ももろもろの面で構造改革をしていかないと国際的な競争力において劣ってしまう、こういうようなことで、いろいろな形のビジネスモデルが模索されてきた、こういう背景が一つあります。それからもう一つは、労働者の側にも、時間とか自己研さんとか、あるいは家事、育児というようなことを理由として働き方の多様化を求める、こういう流れが出てきておりまして、昔と比べまして随分違った形になっているわけでございます。
そういう中で、私どもの課題として考えておりますのは、いわゆる非正規と言われる人たちが、みずから選択したのではなくて、つまりやむを得ずそういう労働形態を選んでいるというような方がいらっしゃる、これはできるだけ正規の方に移行させていきたい、こういう考え方を持っております。
それからまた、先ほど挙げたいろいろな個別の理由でもって非正規、特にパートのような労働形態を選んでいる方々についても、やはり処遇がしっかり均衡というか、そういうものが確保されなければいけない。単に労賃が安いからそれを使ってしまうんだというようなことがあってはならなくて、それにふさわしいきちっとした処遇を得ていくということが大事であります。
したがいまして、今度のパート労働法というのは、この二つ、正規社員への移行と、それから、パートを選択してこれから先もパートで頑張っていこうというような方々についてもそれにふさわしいような処遇を確保する、これが均衡ある処遇ということになるわけですけれども、そういうことを確保しようということでありまして、今のこのかなり変貌を遂げた労働市場の中で、それをできるだけ正常化すると同時により充実させていく、こういう考え方で今回のパート労働法の改正が行われようとしているということをぜひ御理解いただきたい、このように考えております。
○福岡委員 今回のこの法改正は、いわゆる非正規と言われる方の労働環境の改善に大きな一歩を果たす法案であるというふうに思います。しっかりとこの法案を機能させていただくことを心からお願いさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、坂口力君。
○坂口委員 坂口でございますが、久しぶりに質問させていただきます。
前にいつしたのか思い出しているんですけれども、なかなか思い出せませんで、たしかもう厚生労働省になりましてからは一度もいたしておりませんから、その前、新進党のときに、今民主党におみえになります岡田克也さんが筆頭理事で、そのもとで質問をさせていただいた、介護保険のときに質問をさせていただいた、それ以来でございますから、歴史はかなり動いているな、こう思いながらここに立たせていただいたわけでございます。
それにいたしましても、厚生労働省というところは次から次へといろいろなことが起こるところですね。大臣も副大臣も、たまったものじゃないというふうに思いながら御努力いただいているのではないかというふうに思っております。
民主党の皆さんには申しわけなかったんですが、民主党の皆さんが出していただいている法案にも本来ならば質問すべきだというふうに思いますが、立派な案でございますので質問は割愛させていただきたいと思っております。
さて、パートの問題を少しお聞きしまして、後半、タミフルの話、看過できない問題がございますので、少し聞かせていただきたいと思っています。
パートで働く労働者に対しましては、できるだけ多くの人に正規労働者と同じような扱いをする、そういうふうに思いますと、経営者の皆さん方からは当然のことながら反対がある。経営者の皆さん方だけ反対があるのかと思いますと、働いておみえになります皆さんの中でも三号被保険者の皆さん方からは猛烈な反対があるということでございます。それでは、その人たちをみんな除いて、そうして一部の人にだけこの正規扱いをしようということになりますと、では正規、非正規の格差は埋まらないではないかという反発が出る。孝ならんと欲すれば忠ならずで、なかなかこれは難しい話でございます。
しかし、総論としては、できるだけ多くの人を正規雇用と同じような扱いにしていくというのが方向としては筋ではないかというふうに思っておりますけれども、大臣のお考えを少し聞かせていただきたいと思います。
○柳澤国務大臣 大変なる専門家でいらっしゃいますし、草創期の厚生労働省を長く率いられた坂口委員から本日は質疑者という立場で質疑をいただくわけでございますが、お言葉は少なくてもその後ろに隠されている含蓄の深さを考えますと、余り軽率な答弁はできないな、こういうように考えるわけでございます。
今委員が御指摘になられたように、パート労働者に対する処遇、特に賃金とかを中心とする金銭的な処遇というものを考えた場合に、なかなか一筋縄ではいかないという側面を御指摘いただきました。もとより経営者の側にとりましては、これは経済的な負担になるということで、コストを形成するということでございますから、そうにこにこと歓迎というわけにはいかない。
他方、労働者の側はどうかというと、労働者の側にもいろいろな事情がありまして、その中の一つとして先生は今、年金における三号被保険者というものをお挙げになられましたけれども、あるいは場合によっては所得税のことも念頭にあって、余り上げられるとうちの非常に損益分岐点の微妙なところをオーバーしてしまうというような、そういうこともあるんではないかというような形での御指摘であったかと思います。
私は、この点につきましては、経営者の側は、特に最近においては、コストの安い非正規労働を雇ったら自分の経営にプラスだというところだけ考えていればいいという時代が徐々に過ぎてきているんじゃないか。皆さんお気づきになってきたわけですけれども、結局、人的資本の蓄積と我々言わせていただいているんですけれども、現場力とかそういう言葉もあるようでございますが、そういったものが非常に衰弱していってしまうのではないかということでありますので、経営に対するコストは若干高くても、それを補って余りあるようなそうしたメリットの方も考えなきゃいけない。これの彼此勘案の中でパートの皆さんへの処遇も決めなきゃいけない。こういうような動きが、先ほど来雇児局長の答弁にもあらわれておりましたけれども、もう明々白々、そういった動きに出ている、こういうことでございます。
問題は、したがいまして、労働者の側もそういった労働条件以外のところで、例えば今回、年金についても厚生年金を拡大したらどうかということが具体の問題として我々の課題として上がっているわけでございますけれども、これはちょっと労働条件とは違う問題として、この労働条件の問題というのは労使の間の労働契約のかかわりでございますので、ここのところは少し整理をして進んでいけるかなと。
つまり、労働契約の中でどういうことであろうとも、まあ全く無関係に、独立にとはいかないですけれども、社会保障の方はある程度独立に考えさせていただくという余地もあるのではないか、こういうことも考えておりますので、私どもとしては、労働問題、あるいは経営の問題、労使の問題というようなことでベストの解を選んでいきたい、このように考えておるということを申し上げておきたいと思います。
○坂口委員 ありがとうございました。
なかなか労使でお話し合いをしていただいているだけでは前に進まない問題も私は多いと思います。私は、ワークシェアリングの問題を話をしてもらったことがあるんですが、全然前へ進みませんでした。鳴り物入りでやったんですけれども、前へ進まなかった。現在雇っている人と雇われている人とが現在働いていない人のことを考えるわけですから、それは、考えてみればなかなか結論は出ないんだろうな、そう思ったわけであります。
いつも労使でお話し合いをしてもらって、そしてそれを足して二で割った案をつくるというのではなかなかうまく前へ進みませんから、これは、時には政治が先行して決断をしなきゃならないときがあるのではないか、そういうふうに思っているということだけ申し上げておきたいと思います。
パート労働者を正規並みにという議論をしますと、雇用主からは判で押したように、国際競争力に勝てないという言葉が返ってまいります。しかし、国際競争力というのは何も収益率だけの話ではなくて、労働者をいかに大切に使うかということも国際競争力の一つではないかというふうに思います。
だから、そういう意味では、今後労働力人口が減少していきます中で、いかに大切に働いてもらうかということの競争をしなきゃならない時期が来るわけですから、ここを見ていただくようにしていかなきゃならないというふうに思いますが、これは副大臣の方からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○武見副大臣 坂口先生御指摘のとおり、人材というのは我が国の最大の資源であって、また国力の最大の源泉であると私も考えます。そういう中で、国民一人一人がその能力を十分に発揮することができる、そのことがひいては企業の活力を強化して、そして国際競争力の強化につながるというふうに考えるわけであります。
したがって、本法案に基づいて、事業主がパート労働者の働きや貢献に応じた公正な待遇を確保するための措置を講ずることで、パート労働者一人一人の安心、納得、こういうものが確保でき、そして、この結果として事業所の生産性が高まり、我が国の経済社会の活力維持につながる、こういうふうに考えるわけです。
そこで、従来、我が国の戦後の職域社会というものを考えたときに、復興期から高度経済成長期というものについて見た場合、我が国は明らかに、職域社会というものは、安定した、言うなれば長期雇用、いわゆる終身雇用制といったようなものを受けて、社員もまた同時に非常に強い会社に対する帰属意識を持ちやすい、そしてその中で、企業側も社員に対して帰属意識を強く求めるとともに、安定的なより質の高い労働力の確保をそこで期待できる。そして、その中でのさまざまな技術の伝承、さらにその開発というものも、またよりやりやすい環境が整ったというのがその経緯であったかと思います。
そういう中で、改めて、こうした国際競争力強化という観点からのさまざまな考え方が、このような非正規雇用の社員のあり方にも導入されてきた。そして、そのことはまた、先ほど柳澤厚生労働大臣も御指摘になったとおり、労働力側も、仕事と生活というもののバランスを考える新しい価値観なども、多様化して我が国の国民の中に生まれて、そして新しい労働形態というものを求めるニーズもその中で出てきたことが、今日の状況をつくり出している。
しかし、その中で改めて、働く場所において非正規であったとしても、そこにしっかりとした均衡処遇が求められ、そしてまた、会社との帰属意識についても一定の確保が期待できるような、そうした新しい職場環境、職域社会というものを形成する、そうしたことがまさに私どもが今目指そうとしていることではないか。それによって、御指摘の国際競争力の強化にもつながる、そういった流れが形成される、このように私は考えます。
○坂口委員 大臣も副大臣も、非常に御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ただ、時間が少し過ぎてまいりまして、なかなか厳しくなってまいりました。
局長にも一問お聞きしたいと思いますが、これはひとつ簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。
正規労働者の場合は企業が人材の育成に努めてくれますが、パート労働者の場合にはなかなかそうもまいりません。そのパートの教育訓練について厚生労働省はどう考えているか。これはもう簡単にひとつ答えてください。
○大谷政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。
企業における教育訓練、実施状況を見ると、パート労働者に対するその訓練はまだ水準は高くないというふうに考えております。
今回の法律の中で、職務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施を義務化し、また、パート労働者の職務の内容それから職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じて教育訓練を実施するよう努める、こういったことを規定したところでございまして、この法案の施行により教育訓練の推進を図ってまいりたいと考えております。
○坂口委員 ひとつしっかりとお願いをしたいというふうに思います。
それから、これはもう答弁はよろしゅうございますが、業種別のパート労働者の割合を見ますと、飲食店ですとか宿泊業が一番多くて四八・〇%、そして、小売それから卸売が三一・五%。この辺までは、歴史的な経緯もありますからやむを得ないことだというふうには思いますけれども、もう一つ、新しいといいますか、近代的な業種であるはずの医療、福祉も三〇・四%になっておるわけですね。
この医療や福祉というのは、仕事の性格からいきましても、パート労働者の割合が高いというのは少し問題があるのではないかというふうに思います。医療や福祉は厚生労働省の所管する分野でございますから、この分野でパートがふえていくということは非常に問題もありますし、考えていただかなきゃならないことだというふうに思います。
これを減らしていくためにどうするか。財政的に厳しく厳しくと言うと、こういうことにもなってしまう、そうすると質的に落ちるではないかという問題がありますので、この辺のところをどう考えていただくか。大変難しいところですけれども、お考えをいただかなきゃならないことではないかというふうに、これはもう指摘だけさせていただいておきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
番外でございますけれども、初めにもちょっと申しましたとおり、タミフルの話を、これは看過できませんので、ちょっときょうは申し上げさせていただきたいというふうに思います。
局長さん、済みません、お越しいただきまして、ありがとうございます。
それで、この一連の話を聞いておりまして、これは薬品でありますから、ここで起こってまいりますさまざまな症状、それがインフルエンザの随伴症状なのか、それともこのタミフルの副作用なのかということはわからないわけでございますが、その疑いがあるということであれば、それは第一義的には、そのメーカーなり、それを販売する、中外製薬でございますが、そこがまず第一に調べなきゃならないことではないか。厚労省としては、ここに、調べろ、きちっと報告しろということを言うのがまず第一ではないかと思うんです。
そこのところが、そうではなくて、厚生労働省の研究班の方がこれを引き受けた。それはなぜだったのか。なぜ製薬会社の方に、君のところでやるべきだ、君のところがちゃんとしろということを言わなかったのか、そこを聞きたいですね。
○高橋(直)政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘のタミフルの安全性を含む研究として、私ども、インフルエンザに伴う随伴症状の発現状況に関する調査研究、こういったものを平成十七年度それから十八年度に行っております。この中では、異常行動・言動がインフルエンザ脳症の前駆症状か、それともインフルエンザの一般的な随伴症状か、それとも治療に使用した薬剤の影響がかかわっているのか、こういった不明な点が多かったために、インフルエンザ経過中に生じた臨床症状、使用した薬剤、それぞれの経過などにつきまして、全国の小児科医などの協力を得て行われたものでございます。
使用した薬剤につきましては、タミフルだけではございませんで、解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェン、セフェム系の抗生物質なども対象としたということでございまして、このように、本研究は、インフルエンザの臨床症状、経過それからさまざまな治療、これを広範にとらえまして、そういったさまざまな治療などを対象としたものでありまして、国側の研究としたということであります。タミフルだけということではなくて、全般のインフルエンザの病気と、それからそれに使った薬剤全般の研究を行ったということでございます。
○坂口委員 そこなんですけれども、厚生労働省の中にできておりますその研究班というのは、インフルエンザの随伴症状について検討する研究班だったわけですね。別にタミフルの副作用をそこで調べるための検討会といいますか研究班ではなかったわけですが、このタミフルの副作用の問題を、何か想定外の問題をそこに持ち込んだという感じがしてならないわけです。
本来ならば、その製薬会社なり販売会社なりがみずから解明をしなきゃならない問題だと思うんです。外部の先生方を集めて、自分たちで、公正に、国民の皆さん方から信頼をしてもらえる結論を出すべきであった。だけれども、それをさせずに厚生労働省の研究班、その研究班は別の趣旨でつくった研究班であるにもかかわらず、そこがタミフルの問題を引き受けさせられたといいますか、厚生労働省がそこでやってくれというふうに言ったのか、あるいはその製薬会社の方が、自分たちがやったら信頼がなかなか得にくいから、ひとつ公的な第三者機関でぜひお願いをしますというふうに言ってきて始めたことなのか、そこが明確でないんですね。
それで、この研究班の先生にしてみれば、タミフルの問題をやるために集められた人ではなくてインフルエンザの随伴症状についての研究をするために集められた先生方ですから、それは降ってわいた話だと思うんです。タミフルの話をそこでやらなきゃならなくなった。それで、厚生労働省の方はそれに対する財源は用意されていたかというと、四百万しかなかった。四百万でやれというふうに投げられた。そうすると、この研究班の先生方は、何とかしてこれはやらなきゃならないし、お金はないしというので、どうするかという話に多分なってきたんだろうと思うんです。
私個人は、本来、これは製薬会社がすべて自己責任で解明をしてきちっとすべき問題というふうに思っています。ところが、そうではなくて厚労省が引き受けて、そしてこの研究班に投げた。寄附金が流れていたとかなんとかという話が出ておりますけれども、この研究班の先生方にしてみれば、それはその研究班の先生が所属する大学があらゆるところからこの研究費を受けておみえになるわけでありまして、それはそれで研究をしておみえになるわけですから、別にそれとこれとは関係のない話なんですね。だから、大変迷惑な話ではないか、この研究班の先生方にしてみれば。
六千万の問題に至りましては、これは、文部科学省が所管しております情報・システム研究機構、ここで統計的なことをやるということになって、ここに投げられた。ですから、そこにお金が要るというので、ここに製薬会社からのお金が入ったということですね。だから、この研究機構から、その下にあります統計数理研究所の方にそのお金が行って、ここで検討をされている。だから、ここに所属しておみえになる先生にもこれは関係のない話なんですね。それが、何かこの先生方が個人でその研究費をおもらいになって、そして何か話がゆがめられているのではないかという疑惑が持たれるというのは、これは少し話が違うのではないか。厚生労働省の方が想定外の問題をこの研究班に投げたんですから、もう少し厚生労働省の方が責任を持ってこれを処理していただかないと。
厚生労働省が先日、三十日に発表になりました文書を見ますと、先生方が言われたのでやむなくそれを引き受けたというストーリーになっているんですね。それで、本来ならばそれをきちっとそこで断るべきだったけれども、断らなかった厚生労働省が悪かった、間接的に我々も責任がありますというようなストーリーになっている。でも、それは間接じゃなくて、直接、丸々厚生労働省がこの先生方と相談をして、それじゃ金がないからどうしたらこれをやっていけるかというので話をしたことでありますから、この先生方をスケープゴートにするような言い方は私はよくない。こういうことをいたしましたら、これから厚生労働省に協力してくれる先生方はいなくなってしまうのではないかと私は危惧をいたしております。時間も来ておりますから、特別に答弁はよろしいですけれども、ここは気をつけていただきたい。
そして、そのもとをただしていきますと、それは、一番責任があるメーカーや販売する企業にきちっとそれをさせなかったところからスタートをしている。そうではなくて、なぜ厚生労働省の研究班が引き受けたのかということが余り明確でない。先ほど御答弁を聞きましたけれども、そこがどうもすっきりしない。そこがすっきりしないものですから、先までだんだんだんだんと話がすっきりしないようになっていて、最後はその研究班に所属しておみえになりました先生方に何か責任があるかのごときストーリーになってしまっている。そういうつもりは厚生労働省はないかもしれませんよ、しかし、結果としてそういうことになっている。
これは少し、責任は責任として明確にしてほしいと思いますし、先生方に押しつけるというのではなくて、厚生労働省がそういうふうにその最初のスタートのところでそうお決めになったらお決めになったで、それでいいと思うんですね。製薬会社にやらせたのでは国民からの信頼を得ることができ得ない、それならかわって厚生労働省が研究班をつくってそこでやりますということを言われるのならば、それはそれで一つの見識だというふうには思いますけれども、それならそれなりのお金も用意をしなきゃならなかったけれども、金の用意はしていなかった。それでどうするかということになって、製薬会社から寄附金を受ける。寄附金を受けるというよりも、本来、その製薬会社がすべてを持って、私たちがやらなきゃならないことですけれども、私たちがやったのでは国民の信頼を得ることができませんから、費用はすべて負担をいたしますから、どうぞひとつ厚生労働省お願いします、こう言うべき筋合いのことではなかったかと私は思っております。
所感を申し述べて終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、小宮山洋子君。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。
政府提出のパートタイム労働法改正案につきまして、私ども民主党も、先ほどから答弁も申し上げておりますように、私どもの法案も持っておりますので、そこを比較しながらさまざまな点で伺っていきたいと思います。
全体的な、基本的考え方については大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思いますし、パートで働いている皆さんも含めて、今回のパート労働法改正案、本当に前進するものであればいいけれども、いろいろ確認をしたいという点がたくさん寄せられておりますので、そうした点につきましては政府参考人の方からきっちりお答えをいただきたいというふうに思っております。
まず、そのパート労働の実態のとらえ方なんですけれども、一九九七年以降正社員が減少しまして、パートとか派遣などへの代替が進む中で、最初のころの補助的なパートから、基幹パートあるいは学校を出てすぐなる新卒パートなど、恒常的なパート労働が家計の中心となるものに変化をしてきているわけですね。そうしたことに対して、今回の政府改正案は実態に対してきちんと対応しているのかどうか、まず大臣にその全体的なとらえ方を伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 今、小宮山委員の御指摘のとおり、非正規雇用者と言われている方々の中に、幾つかのカテゴリーにこれを区分することが可能なんですけれども、そのうちのパート、アルバイトというものは、これはやはりかなりのウエートを占めて、しかも増勢にあるということはそのとおりでございます。
これに対して政府案はどのような考え方をとったのかという御質問でございますけれども、要するに、パートというのは、数はふえておりますけれども非常に多様な働き方をしておるということがございまして、それぞれに見合った公正な待遇を実現するということが一番大事なのではないか、こういうように考えておるのが政府案でございます。
そのために、事業主に対して、まずすべてのパート労働者を対象として均衡待遇というものの確保をお願いするということをいたしたわけでございます。この均衡待遇というのは、多様な就業実態を踏まえて、現実に即して、しかしそれをレベルアップしていく、こういうことをもって均衡待遇を確保しようとしているということでございます。そのうち、特に正社員と同視できるような働き方をしている方には、これは差別的取り扱いの禁止ということを求めた、こういう二段構えの考え方をとったということでございます。
そういうことで、パートというものを選択される、自分の時間、あるいは家事、育児等、あるいは、場合によっては、さらにいろいろスキルアップを図るための自己啓発というような活動をしている場合に、それとのバランスをとった働き方をするにはどうしてもパートの形態がいいというような方の場合について、そうしたような、基本的にまず均衡待遇。それからまた、その中でも正社員と同じような方については差別的取り扱い禁止ということで、そうした均衡待遇を全体として確保するということをいたしました。
それからもう一つは、今度は、みずから選択したのではなくて、やむを得ず、正社員の口がなかったのでこういうパートの形をとっているのだというような方々に対しては、その希望をかなえていただいて、正社員へ転換していただく、移行していただく、そういうものを推進することを事業主に対して義務づける、そういう措置を義務づけるということをいたしたということでございます。
いずれにいたしましても、そうしたことで、目下、数量的にも、また仕事の形としてもいろいろな多様性をふやしているパートに対して、私どもはこのような対応をいたしているところでございます。
○小宮山(洋)委員 たくさん質問項目を用意しておりますので、なるべく簡潔明瞭にお答えをいただければ幸いでございます。
今お話あったように、多様な働き方に対して公正な待遇と言われたんですが、政府の法案の中では、とても公正な待遇にはなっていないし、二段構えと言われましたが、その一段目がない、どっちが一段目かわかりませんが、そこがないのではないかとも思っておりますので、そこは個々にまた詰めて伺っていきたいと思います。
もう一つ、全体的な考え方を伺いたいんですが、パート労働者が今全体の二二・五%、特に十五歳から二十四歳の若者では約四割を占めている。パート労働者のうち女性が七割。こうしたことからも、正規と非正規の格差の是正、喫緊の課題ということで今回も法案が提案されたのだと思いますけれども、パート労働者と正規労働者との賃金の比較というものも厚生労働省はきちんとは示していないんですね。私どもで試算したところ、女性の正規労働者は、男性正規労働者を一〇〇とすると六七・六、そして女性のパート労働者は、男性の正規労働者に対して四四・五%の賃金にしかなっていないわけですね。
ILOの百号条約、同一価値労働同一賃金の条約、日本も批准をしておりますが、これに反すると再三指摘をされているわけですけれども、今回のパートタイム労働法改正案で、この指摘に対してこたえられるものになっているんでしょうか。大臣に伺います。
○柳澤国務大臣 ILO百号条約につきましては、同一価値の労働についての男女の労働者に対する同一報酬ということがうたわれておりますけれども、これは、性別による差別なしに報酬を定める報酬率というふうに定義をされているところでございます。
労基法第四条は、男女同一賃金の原則を規定いたしておりまして、労働者が女性であることのみを理由として、あるいは社会通念としてまたは当該事業場において、女性労働者が一般的または平均的に勤続年数が短いこと等を理由として女性労働者に対して賃金に差をつけることを違法としているものでございます。そう