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2009年 第3回総会 宣言文
こんな時代だからこそ、セーフティ・ネットで関係を豊かに! 希望を組織しよう!
2008年は、100年に一度といわれる金融大恐慌によって新自由主義の負の部分が炸裂した年でした。
世界を制覇すると豪語し過去最高益を更新し続けてきた日本のトヨタが史上初の赤字に転落し、自動車関
連及び電機メーカー等各種製造業では未曾有の非正規労働者に対する不当解雇が横行しています。株価の暴落は中小零細企業の倒産にもつながり、便乗解雇も軒並みある中で性別・人種を問わず多くの労働者が生存の危機に立たされています。1980年代から労働運動が大きく後退した25年でしたが、さらに派遣労働はじめ「有期」という非正規雇用によってぶつ切りにされた労働者同士の関係がいかに希薄であるかを見せ付けられました。
人為的とはいえ景気悪化をまぬがれない今日、新たに非正規雇用問題がクローズアップされていますが、女性のパート労働者は1960年代から多数存在し、性別役割分業による「主婦労働の活用」として低賃金と不安定雇用が日常化していました。また公務臨時職員、非常勤、契約社員など公民問わず女性を景気調節弁として有効活用してきたのです。1985年に男女雇用機会均等法や年金3号被保険者新制度とセットで導入された労働者派遣法により、女性の立場は3分割されました。一方で「男並みの働き方」の強要と「男性正規労働者の妻」である専業主婦の優遇政策、他方で派遣労働という間接雇用が合法化され、大手を振って企業に登場しました。派遣労働は、そもそも女性労働者を間接雇用することが目的で性差別の温床として機能してきたため、派遣の大半が女性であった時代は誰からも問題視されませんでした。また半世紀もの間、パートの時給は最低賃金ぎりぎりを維持したままです。
08年には怒りが爆発し、「人らしい働き方」を求める反貧困ネットワークによる全国キャラバン、そして9月に立ち上げた「女性と貧困ネットワーク」など、新たなネットワークが広がりました。まさに超党派で全国のあらゆる団体、個人が参加する「労働者の人権を取り戻す」運動を展開しています。
とりわけ女性と貧困ネットは、パート・派遣・日雇いなどの労働者、路上生活者、DV被害当事者、シングルマザー、外国人、障害者など貧困問題当事者として生きる女性たちが広くつながることを目的に結成し、ネットワークを広げてきました。
また09年は、女性差別撤廃条約(CEDAW)が国連で採択されて30年目、選択議定書の採択は10年目であり、日本政府のレポートが審議される記念すべき年でもあります。女性差別撤廃条約の理念が実効性をもてる社会形成に向けて、ロビー活動などの取り組みも進められています。
日本中に生存を脅かされた労働者が多数出る現状においてもなお、既存の労働組合は、相変わらず女性や非正規雇用労働者について有効な取り組みを提起しているとはいえません。本工主義・性別役割分業意識が、社会全体及び労働組合の隅々にまで浸透しているからです。
今私たちは、当事者としての女性たちと共に新しい運動を創造し、広げていく道を一歩も二歩も進みたいと思います。私たちは女性の貧困の実態を暴露し、貧困ネットの労働相談マップ制作や、アクションリサーチに力を入れていきます。そして女性を分断するための作為的「垣根」をとりはらい、ペイ・エクイティ運動やリビングエイジ運動、またベーシックインカム(基本所得の保障)をベースにした希望の見える運動をめざします。
EU諸国のように失業しても最低限の生活を担保する社会保障制度が必要です。様々な暴力や生活困窮に対する女性たちのセーフティ・ネットを全国規模で作るために、ネットワークを強化していきましょう。
全国の女性たちが「暴力と貧困のない社会」と「人としての尊厳ある働き方」を取り戻すため、“社会的排除を許さない”豊かな関係作りをめざして全国で連帯の輪を広げましょう。希望を持って確かな行動力で政策提言し、具体的な実績をもってACW2がさらに飛躍していくことを宣言します。
2009年1月25日 ACW2総会参加者一同