ACW2 記事
記事のトップ > ACW2からのお知らせ12月1日派遣法の審議会あてに要望書を提出しました
2009年12月1日
厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会
労働需給制度部会御中
働く女性の全国センター
要望書
私たち、働く女性の全国センターは、07年1月に発足した全国のネットワークです。私たちは全国の女性ユニオンやNGOの女性たちと連携しながらフリーダイヤルでのホットラインを常設して働く女性たちの生の声に接し、日常的な活動の中で、いつも、いつも後回しにされがちな女性労働の均等待遇にこだわって活動しています。
私たちは、相対的貧困率15.7%の数字に顕著なように、国民の多くが雇用破壊の中で苦しんでおり政権交代への道を選択したのだと考えています。審議会の委員の皆さまには、このことの意味を真剣に捉えていただきたいと思います。審議会の一人ひとりの発言は、国民の期待を裏切るものではあってはなりません。
しかし、審議会を傍聴しましたが私たちの期待は無残にも打ちひしがれました。これでは政権交代によっても働いているものの現状を改善する審議会とは思えない事実認識のずれた議論が経営団体や公益委員の先生方から出されており非常に危機意識を持ちました。1985年からの労働者派遣法の歴史や法律の内容について、きちんと熟知し精査した上で発言していただきたいと思います。
このような、切迫感のない事実誤認の元に審議をされているのであれば、国民の政治不信が一層
進行してしまうのではないかと危惧しております。
下記について、ご検討いただけるよう心から要望いたします。私たちの期待を裏切らないでください。
記
女性の多くは、派遣を望んでいません。
審議会の中で、日本人材派遣協会のアンケートの結果や、厚生労働省の平成19年調査を根拠に女性たちが派遣を望んでいるとの発言がありました。47.8%の現在の就業形態を続けたいという結果だけをもとに判断を下さないでください。51.6%の派遣労働者は、他の就業形態に変わりたいと答えている声にこそ、耳を傾けてください。正社員として働ける会社がなかったからと答えている派遣労働者が約4割で、家計補助や家事・育児の両立を理由に挙げた派遣社員は、いずれも20%に
満たないという結果になっています。現在の就業形態を続けたいという答えも、イコール派遣労働に満足していることにはなりません。求人が少ない中で我慢を強いられている現状です。
女性派遣労働者の現実を良く知ってください。
私たちは、3党案が、派遣労働者保護法と名称を改めることになっていることなどは大賛成します。旧政府案に比べても比較にならないほど、良くなったと思います。しかし、この法律案は、またも女性派遣労働者の多くを見捨てたものです。働く人たちの半分は女性です。女性の力を信じて、もう一歩の改正をお願いしたいと思います。
(資料として相談内容概略を添付します)
http://files.acw2.org/hotolin.doc
1.「専門業務を除き製造業派遣を禁止する」については、すべて禁止してください。
その理由
現在の製造業派遣労働者の業務は、かつては直接雇用の労働者が行っていた業務を派遣がやっています。そもそも、派遣法の施行時から、正社員代替化を防ぐためにという名目で、高度な専門的な業務に限定して解禁するという条件つきでした。それは、本当に「正社員にも出来ない高度な職務」という意味であったものが、実際は正社員にできる仕事を派遣に変えて賃金コストを引き下げて行ったのが現実です。
日弁連の集会でも、派遣労働者で死亡事故にあった遺族の方から、正社員には転落防止の防御ネットがありながら派遣社員にはなかったために死亡したという悲惨な現状が報告されていました。また、高度の仕事であっても派遣労働は、間接雇用であるために派遣元会社は市場競争の中で、どんどん賃金の切り下げを行わざるを得なくなっており、派遣村で明確になったように派遣労働者の人権を無視した著しく合理性に欠くものになっています。
2、「一般労働者派遣事業は、26専門業務以外は常用雇用のみとする」から26専門業務以外
と言う例外は、作らないでください。
専門26業種は、恒常的仕事の正社員の代替になっています。
その理由
専門26業務は、すでに内容を見れば明確なように現実には専門業務になっていません。女性労働者の一般事務職の仕事の多くは、派遣労働の専門26業務にとって変えられました。その結果、女性派遣労働の問題を放置した結果が、男性の派遣労働者の生存権まで危機に陥らせるところまで来たのです。
女性が、派遣労働に就くとき5号事務機器操作、8号ファイリング、10号財務処理などを
組み合わせた派遣契約をして、実際には正社員と同等かそれ以上の労働を強いられてきました。
当初は、正社員やパートの女性の賃金が低すぎる中で労働時間に融通が利いて、賃金が、パートの時給より高い状況では、女性にとって魅力になる働き方に見え、親の介護や母子家庭の女性が自ら選択して就職した経過もあります。しかし、仕事が途切れることなく来ているうちはいいのですが、ずっと派遣をしていて年齢が高くなってくると、仕事がだんだん来なくなり、
やむを得ず、日雇いも受け入れるしかなくなってきました。気がつけば、派遣の経歴では、他の直接雇用では採用されなくなり、派遣だけを選ぶしかなくなり、やがては、生活困難になって、生活保護に陥った人たちも多くいます。また女性の多くは、性暴力の危険性からホームレスとして登録されることは少なく、みな身を潜めて生活しているのが実態です。
専門26業種と言えば、聞こえがいいですが、長時間労働が蔓延し26専門業務も、精神的肉体的負荷のかかる肉体労働です。
3、医療関係の介護職・看護職の派遣労働について
適用除外業務の見直しを要望します。
現在、医療関連業務の派遣の適用除外規定により、福祉施設などでは、日雇い看護士などが
多くなり、ひとの命が危険にさらされるような状態が作られてます。その実態を調査し、登録型派遣と同様に禁止してください。