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記事のトップ > ACW2からのお知らせ12月28日審議会に向けて要望書提出☆ ワークライフバランスのために登録型派遣は必要という欺瞞
下記のような要望書を厚生労働省に送りました。
http://files.acw2.org/091228.doc
2009年12月28日
働く女性の全国センター事務局
厚生労働省労働政策審議会職業安定分科会
労働需給制度部会 御中
要望書
私たち、働く女性の全国センターは、07年1月に発足した全国のネットワークです
。私たちは全国の女性ユニオンやNGOの女性たちと連携しながらフリーダイヤ
ルでのホットラインを常設して派遣労働者など働く女性の生の声に接し、いつも
後回しにされてきた女性労働者の均等待遇・賃金・労働条件の改善のために活動
しています。
使用者側委員の方へ
☆ 現状をきちんと把握してください。
厚生労働省が12月の非正規雇用の失業状況について公表されました。その中でも
、250,291人の解雇された労働者のうち145,044人(58%)が派遣労働者で、住居
喪失状況判明者も派遣労働者が最も多く71,112人という数字が出ています。
「規制を強めれば失業が増える」などということはまったくの詭弁です。今、失
業状況に陥っている労働者は派遣労働が多く、経済的に困窮しているために、ど
んなに劣悪な雇用・労働条件でも、目の前に仕事があれば飛びつかざるを得ない
状況になっています。このような派遣労働者たちの置かれた状況が、貧困ビジネ
スをはびこらせる温床となっているといえるのではないでしょうか。
☆ ワークライフバランスのために登録型派遣は必要という欺瞞
今度の法改正で保護しなければならないのは、自らの収入だけで生活せざる得ず
、仕事を失うとともに住居まで失うような人々やその果てに健康や生命までも失
いかねない人々です。 前回出された資料でも、1ヶ月未満、3ヶ月未満という短
期契約による細切れ雇用で働かざる得ない派遣労働者が多くいると報告されてい
ました。このように、低賃金・不安定な雇用では、ワークライフバランスは実現
できません。若年労働者の男女計でも45%は非正規雇用です。こうした現状にお
いて、どのような仕事と生活の調和が出来るのでしょうか。育児・介護休業も派
遣労働者はほとんど取得できておらず、妊娠がわかると突然別の理由で契約更新
を拒絶され、仕事を休止せざるをえない状況です。働く人々のワークライフバラ
ンスに必要とされる「産前産後休暇・育児休業・介護休業取得者のための代替派
遣」については、今回の改正案においても、廃止されていないのに、まるで廃止
されるかのような誤解を招き、改正への不安を増幅させるだけの暴論といわざる
を得ません。こうした現実を踏まえないワークライフバランス論を全面展開する
使用者委員は派遣労働者に犠牲を強いなければ商売ができないのだから、ずっと
犠牲になり続けるために法を変えないでくれと言っているだけで、派遣労働者の
法的保護について微塵も考えているように思えません。
下記は、要望書の再送です。
1.登録型派遣の原則禁止の例外につい見直しを要請します。
登録型派遣の原則禁止が盛り込まれたことに賛同いたします。
しかしながら、禁止の例外としてあげられたものの中で、専門26業務と紹介
予定派遣について、法律制定時と現実の大きなずれが生じてきていますので、見
直しを要請いたします。
専門26業務の実態
専門26業務について、導入当時は高度な専門的業務という位置づけで、正社
員代替を防ぐことが目的として政令で決められてきた経過があります。
しかし、派遣法制定から20年以上たった状況の中で、事務機器操作、ファイ
リング、財務処理テレホンマーケテイング、秘書、案内・受付、駐車場管理など
は、高度に専門的業務とは言えない
状況になっています。工場内においでもOA操作を行う工程があれば「専門26業務
」として拡大解釈されて「事務職」として派遣労働者の斡旋が行われている実情
もあります。そして女性の多くは、事務機器操作とファイリングなどの組み合わ
せで、一般派遣あるいは正社員と同じように、雑務やお茶くみ、コピーとりなど
まで行うのが日常茶飯事になっています。残業や休日出勤、有給休暇の取得など
も正社員より厳しい実態もあります。労働者として当たり前の権利を取得するた
めに、意見を出せば雇い止めされる危険性が高いので理不尽さを我慢して働いて
いるのが現状です。
紹介予定派遣について
事務局の説明では、医療関係のことを事例に出して、派遣先が人を選別するこ
との必要性を語られました。しかし、現実には、福祉関係施設において、患者や
利用者の病気の引継ぎもなく日雇いナースや、ヘルパーが派遣されており、人の
命より企業の営利が優先される事態がおきています。紹介予定派遣の実態につい
て調査し見直すことが必要ではないでしょうか。
2.日雇派遣の原則禁止の例外について見直しを要請します。
20年間法案で例外とされたものに、専門26業務と重複する、女性の一般事
務職に当たる業務が多数含まれています。こうした例外を設けると、企業は、ま
すます女性を正社員として雇用することを回避し、派遣社員に置き換えることを
今以上に促進してしまいます。
これでは、規制強化でなく、規制緩和の容認になりかねません。
3、均衡待遇について、
EUでは、派遣労働でも均等待遇が原則です。均衡の考慮では、先進国の中でも
遅れた対応であるといわれても仕方がありません。
4、マージン率について
派遣料金の明示は賛成ですが、人材派遣会社が、実際に仕事をしている派遣労
働者の労賃よりも多いマージンを搾取する現状は、あまりにもモラルがなさ過ぎ
、なくすべきではないでしょうか
5、派遣先団体交渉権について
セクシュアルハラスメントや不利益取り扱いなど、派遣先会社に直接責任のあ
るケースも多くあります。使用者責任としての派遣先企業との団体交渉権を認め
ないのは、現行の労働組合法にも違反する忌々しきことと思います。
6、常用型派遣という概念について
私たちは、常用型派遣というのは、派遣先に解雇されても、派遣元では雇用
が継続できる働き方を常用型と解釈していましたが現状は、短期の有期契約で、
いつでも解雇される不安定な雇用が横行しています。無期契約としなければ派遣
労働者に雇用継続の期待を持たせ誤解を生む概念となっているので有期か無期か
明確に規定し直してください。
7.施行期日について
登録型派遣と製造業務派遣の原則禁止規定の施行期日が、交付から3年以内の
政令で定める日とされていることについて、現在も、派遣切りが続いており、こ
のような、猶予期間は、現在の
派遣労働者の窮状に答えることになりません。至急施行してください。