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記事のトップ > ニュース労働時間法制の審議が、正念場!働きすぎ促進法に反対を
来年の国会では、経営者側からの要望を取り入れて労働法の改悪がされようとしています。その中で、8時間労働の規制をなくしてしまう、本当に
恐ろしい法律が厚生労働省の審議会で議論されています。
こんな、法律ができたら、さらに長時間労働になるのは、目に見えています。
12月10日の、毎日新聞は、社説で、働きすぎの助長は許さないと訴えています。またその中で経済同友会からも労働時間法制について疑問の声を伝えています。下記が引用です。
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12月10日、朝刊 毎日新聞の社説の転載
社説:労働時間見直し 働き過ぎの助長は許されぬ
同じ仕事を仕上げるのにAさんは6時間、Bさんは10時間かかる。Aさんの方が能力は高いのに、勤務時間超過のBさんが残業代をもらえる現行制度は不合理だ??。財界にくすぶるそんな批判を下敷きに、労働時間のあり方を見直すべきかどうかの審議が、労働政策審議会の労働条件分科会で大詰めを迎えている。
現行の労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間以内と規制し、延長の場合は使用者が残業代を払わなければならない。厚生労働省が分科会に示した報告案は、その規制から事務系労働者(ホワイトカラー)の一部を外す制度の創設を打ち出した。年内に労使双方の委員の意見を取りまとめ、来年の通常国会で労働基準法改正を目指すが、労働者側の反発は強い。
日本版ホワイトカラー・エグゼンプションと呼ばれる新制度では、一定の要件を満たすホワイトカラーは労働時間に縛られず、本人の裁量で自由に働けるようになる。その分、長時間労働をこなしても残業代は支払われなくなる。経営者には、残業代カットによるコスト削減という大きなメリットがある。労働時間が延び、労働強化につながる懸念はぬぐえない。
就業形態の多様化、成果主義の広がりを背景に、財界が米国の制度を参考に導入してほしいと熱望し、日本経団連は昨年6月、年収400万円以上のホワイトカラーを対象にするよう提言した。今年3月には、政府が06年度中に結論を出すと閣議決定した。小泉純一郎前政権の規制緩和路線が導入に向けた動きを加速させてきた。
現行でも、経営者側の立場に立つ管理監督者は規制の対象外だ。厚労省は新制度対象者を「管理監督者の一歩手前の人たち」と説明する。報告案は対象者の要件を、年収が相当程度高く、重要な権限や責任を相当程度伴う地位にある人などとハードルを設けている。
それでも仕事には取引相手もいれば、決められた納期もある。労働時間を自らコントロールできる労働者が実際にどれだけいるだろうか。最初の例で言えば、6時間で仕事を終えたAさんには次の仕事が待っているのが現実だろう。
30代男性の4人に1人が週60時間以上働いている。昨年度に過労で脳・心臓疾患になったと労災認定されたのは過去最多の330人に上り、うち157人が亡くなった。一方、昨年度に労働基準監督署の是正指導を受けて100万円以上の不払い残業代を支払った企業も1524社と過去最多で、その額は232億円余に達する。
何よりも長時間労働と違法な残業代不払いを一掃することが先決だ。現状のまま導入されれば長時間労働を助長し、労働者の健康をむしばむ方向に流れかねない。新制度は不払い残業を合法化し、ただ働きを奨励するようなものだ。
経済同友会は「将来進むべき方向としては正しいが、仕事に裁量のある者は多くないのが現実だ」との意見書をまとめている。経営者の中からも新制度に疑問の声が出始めたことを、厚労省や財界関係者は重く受け止めるべきだ。
毎日新聞 2006年12月10日 0時15分