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記事のトップ > 資料庫パートタイム労働法国会審議 衆議院議事録抜粋 2007年4月18日
第166回国会 厚生労働委員会 第14号
平成十九年四月十八日(水曜日)
午前九時三十分開議
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
雇用基本法案(大島敦君外二名提出、衆法第一三号)
労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案(加藤公一君外二名提出、衆法第一四号)
若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案(山井和則君外二名提出、衆法第一五号)
――――◇―――――
○櫻田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は、去る十三日に終了いたしております。
この際、本案に対し、高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。高橋千鶴子君。
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短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○高橋委員 ただいま議題となりました日本共産党提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、趣旨を説明します。
パート労働者は千二百万人を超え、今や基幹的な労働力として雇用されているばかりか、パート労働から得る収入は労働者の生活を基本的に支えるものとなっています。にもかかわらず、正社員とほとんど同じ労働時間や仕事であっても、賃金や労働条件の面で均等な待遇を受けていない実態があり、これを抜本的に改善することが強く求められています。若者の多くがパート労働者として働いている現状からしても、この格差是正は喫緊の課題と言えます。
ところが、政府の対応は、パート労働者に通常の労働者と同じ権利を保障した一九九四年のILOパート労働条約にいまだ署名も批准もせず、差別の禁止や均等な待遇の実現に背を向けています。
我が党は、均等待遇を柱とした改正案を二〇〇三年と二〇〇四年に参議院で提出しました。今回の提案も、パート労働者などの均等待遇を法案に明記するなど、格差是正を実現するための措置をとるものであります。
以下、提案する修正案の骨子を説明します。
第一に、パート労働者の多くが有期労働者であることから、有期契約を理由に通常の労働者と差別してはならないことを明確にするため、法の対象に有期労働者を加えます。
第二に、すべてのパート労働者及び有期労働者を対象として、通常の労働者との均等待遇の確保を法案に明記し、差別的取り扱いの禁止を規定します。
第三に、通常の労働者を募集、採用する場合、現に雇用する同種の業務についているパート労働者及び有期労働者で希望するものについては、優先的に応募する機会を与えなければならないこととするとともに、優先的な雇い入れの努力義務を課すこととします。
第四に、事業者への規制を強化します。パート労働や有期労働を理由に通常の労働者との差別的取り扱いをした場合や正社員への優先的応募の機会を与えない場合、厚生労働大臣が行う勧告に従わない場合には、これを公表し、勧告に従うよう命令できる規定を新たに置きます。
以上述べて、趣旨説明とします。よろしく御賛同くださいますようお願いいたします。
○櫻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○櫻田委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。田名部匡代君。
○田名部委員 民主党の田名部匡代です。
私は、民主党・無所属クラブを代表して、内閣提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
以下、反対の理由を申し上げます。
第一に、政府案は、短時間労働であることを理由とした差別的取り扱いを禁止する対象を正社員と同視すべきパートとしていますが、これに該当するパート労働者がどの程度いるのか、本当に存在するのか、ついに明確な答弁はありませんでした。また、正社員と同視すべきパートに該当するかどうかは、パート労働者ではなく、一義的には使用者が判断することになり、労働者にとって不利な規定であります。民主党案のように、すべてのパート労働者を差別的取り扱い禁止の対象とすべきです。
第二に、パート労働者の中に、差別的取り扱い禁止の対象となる者とそうでない者とを分けている点です。正社員と同視すべきパート労働者に該当しなければ、均衡処遇の努力規定があるだけで、かえって処遇が切り下げられ、格差が固定することが懸念されます。
第三に、パート労働者と通常の労働者との労働条件の均衡を図ることを理由に、正社員の労働条件が切り下げられるおそれがあります。民主党案のように、均等処遇の確保等を図る措置を講ずるに当たっては、通常の労働者の労働条件を合理的な理由なく低下されることを防ぐ規定を設けるべきです。
第四に、パート労働者から正社員への転換を推進する措置の実効性に疑問がある点です。正社員募集のパート労働者への周知、配置転換を希望する申し出の機会の付与、正社員への転換試験制度の創設等のうち、どれかを実施すればよいことになっています。正社員と同じ内容の仕事や責任を何年間も任せられながら、正社員に登用されず、均等処遇が実現しないのでは、全く格差の是正になりません。
第五に、同一賃金同一価値労働の実現に向け、職務給制度を構築しようとしていない点です。我が国の短時間労働者と通常の労働者との均等な待遇について、それぞれの事例を積み上げ、労使代表による検討を重ね、社会的なコンセンサスを得ていくことが重要ですが、政府案にはそうした施策は入っていません。民主党案のように、事業所ごとに均等処遇等検討委員会を設置すべきです。
今やパート労働者は千二百万人を超え、通常の労働者と短時間労働者との均等待遇の確保は喫緊の課題です。しかし、政府案は、待遇の格差を是正するものではなく、かえって格差を拡大しかねない内容であることは、これまでの審議でも明らかです。
よって、今回の政府提出改正案に反対することを表明し、私の討論を終わります。
○櫻田委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出のパート労働法一部改正案に対して、反対の討論をします。
反対の第一の理由は、本改正案は二〇〇三年の指針改正で示された均衡処遇を引き継いだものであり、賃金格差や男女差別を廃止する均等待遇を明文化していないことです。
今日、パート労働者は全国に千二百万人、雇用労働者の二二%を占めています。ところが、正社員との賃金格差は大きく、厚労省の調査でも、男性パートの時給は千六十九円、男性正社員の五二%しかありません。女性の場合は九百四十二円で、男性正社員の四六%にしかなりません。しかも、パート労働者から正社員へ移行する道は厳しく、若者世代が結婚や出産も二の足を踏まざるを得ない実態にあります。この格差是正は社会的に急務であり、パート労働者の均等待遇の実現が強く求められるものです。
反対の第二の理由は、本法案が均衡待遇の方向を押しつけることで、パート労働者の間に新たな格差、差別を持ち込み、それによって格差の固定化が生まれる懸念が強いからです。
法案では、パート労働者全体を、通常の労働者と同視すべきパート労働者、職務内容同一パート労働者、パート労働者に区分しました。そして、通常の労働者と差別してはならないとする通常の労働者と同視すべきパート労働者は、職務の内容が同じで、人材活用の仕組みが全期間を通じて同じで、期間の定めのない場合という三つに限定して定めるとしました。ところが、この労働者は、厚労大臣の答弁でも全体の四から五%にしかなりません。
さらに、この区分で大多数を占めるパート労働者は、職務内容、成果、意欲、経験等を勘案して、事業主の裁量で処遇するとしました。言いかえれば、これらの労働者は通常の労働者と同じように処遇しなくてもいいということであり、均衡待遇の名のもとに、パート労働者の中に格差を持ち込み、その固定化を図ることになります。均等待遇を求めるパート労働者の期待とはほど遠いものと言えます。
反対の第三の理由は、有期労働者の権利保護の規定がないことです。
パート労働者の七割は有期労働者です。この有期労働者を継続的な業務に細切れ的に従事させ、安い労働力として使用するという雇用調整が放置されていることは重大です。有期労働者の権利を守るための規定が必要であります。
以上を述べて、討論とします。
○櫻田委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に反対し、共産党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
政府提出案に対する反対の第一の理由は、差別的取り扱いの禁止の対象となるパート労働者が極めて限定的で、差別禁止の実効性が全く期待できないからです。政府案は、対象者を正社員と同視すべきパート労働者として、現行指針の基準である職務内容、人材活用に、さらに期間の定めのない労働契約を加えて、三つのハードルを設けています。しかも、雇用関係が終了するまでの全期間と、その基準は将来の見込みにまで及び、政府答弁からは、対象となるパート労働者がどれだけいるのか、本当に救済されるのかさえ判然といたしません。
反対の第二の理由は、大多数のパート労働者が対象となる均衡処遇が努力義務にすぎないからです。現行指針と同じでは、実効性が期待できないばかりか、逆に、差別禁止の対象ではないということで、差別が放置されかねません。
反対の第三の理由は、期間の定めのない労働契約を差別禁止の要件にしたため、不安定な有期契約労働者がさらに増加しかねないからです。既に、パート労働者の七、八割が有期契約です。これ以上、雇いどめ、細切れ雇用の問題を放置することは許されないことです。
また、パート労働者の正社員転換措置が形式的にすぎず、実効性がないこと、パート労働者の七割が女性であるにもかかわらず、性差別禁止の視点が全く欠落していること、さらに、いわゆるフルタイムパートや公務員パートが法のすき間に落ち込んだままであることなども極めて大きな問題と言わざるを得ません。
今回のパートタイム労働法の大幅な見直しは、一九九三年に同法が制定されて以来初めてのことです。パート労働者が急増し、差別是正と待遇の抜本改革が急務になっており、当初、パート労働者に対する差別を禁止する規定が法律に明記されることに大きな期待が寄せられてきました。しかし、政府案は、差別是正への実効性がほとんどないばかりか、逆に、パート労働者への差別や格差を拡大、固定化を助長しかねないものであると言わざるを得ません。
社民党は、同一価値労働同一賃金の観点に立って、パート労働者の均等待遇の確保、差別禁止の取り組みを一層強めていくと同時に、有期雇用については、EU指令のように、原則的に一時的、臨時的な業務に限定する方向で規制していく必要があると考えます。
また、共産党の修正案については、基本的に我が党と方向を同じくするものであり、パート労働者全体の待遇改善に資するものであることから、賛成いたします。
以上、両案に対する討論といたします。
○櫻田委員長 以上で討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○櫻田委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○櫻田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○櫻田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
――――◇―――――
○櫻田委員長 内閣提出、雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案、大島敦君外二名提出、雇用基本法案、加藤公一君外二名提出、労働者の募集及び採用における年齢に係る均等な機会の確保に関する法律案及び山井和則君外二名提出、若年者の職業の安定を図るための特別措置等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長稲見敏夫君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、労働基準局長青木豊君、職業安定局長高橋満君、職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、職業能力開発局長奥田久美君、経済産業省大臣官房審議官川原田信市君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○櫻田委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原誠二君。
○木原(誠)委員 おはようございます。自民党の木原誠二でございます。
質疑に入ります前に、冒頭、昨晩、長崎市長が凶弾に倒れるという大変凶悪な事件がございました。こういう言論に対する挑戦ということについて遺憾の意を表明したいと思いますし、伊藤市長の御冥福を心からお祈り申し上げたい、このように思います。
それでは、雇用対策法につきまして質疑をさせていただきたいと思います。民主党案につきましても質問させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
この雇用対策法、まさに雇用の分野における基本法ということで、昭和四十年代に制定をされた、こういうことでございます。一条の目的規定の中には、質量両面にわたる労働力の需給の均衡を図っていくという言葉がございます。私、非常によくできた第一条の目的規定だなと思って、改めて何度も読み直してみましたけれども、やはりそのポイントは、質量両面にわたる均衡を図っていくということにあるのかなというふうに思った次第でございます。量だけでもない、あるいは質だけでもない、質量両面を図っていくんだ、こういうことであろうかというふうに思います。
まさにその四十年代というのは、高度成長期のもとで、量的には本当に労働力が不足をした時代でありますし、質的には高度技能者が不足をした時代でもある、質的な能力も高めていかなければいけなかった時代だろうというふうに思います。
今この第一条の規定はまだ残っているわけでございまして、今この時代に要求される、求められる質量両面にわたる労働力の需給といったものはどういうものなのか。とりわけ、人口減少社会に入った、今回の改正はまさにそこが一つの趣旨になっているわけでございますけれども、人口減少社会に入って一体どういう質量両面にわたる影響が出ているのか、どういう影響が出ているからそれに対してどういう措置を今回とろうとしているのか、まず冒頭、副大臣の方から趣旨等を御説明いただければと思います。
○武見副大臣 委員御指摘のように、少子高齢化が進行する中で、労働力人口の減少を抑えて経済社会の活力を維持増進させるためには、若者、女性、高齢者など、すべての方々がその働く意欲と能力を十分に発揮しながら就業参加を実現していくことが極めて重要であると考えております。
このために、人口減少下における就業促進を目的とした本改正法案を踏まえまして、各般にわたる雇用対策、就業能力開発の実施に努め、第一に、量的な側面からは、より多くの方々の就業参加の実現を図る、第二に、質的な側面からは、だれもがその有する能力を有効に発揮できるような、職業訓練等も含めた就業環境の整備、これを促進してまいりたいと考えております。
こうした労働力需給の質量両面にわたる均衡を目指す考えでございます。
○木原(誠)委員 量的には、まさに人口減少社会に入って、できる限り多くの方々というよりもすべての方々に就労に参加をしていただく、そしてまた、質的には、多様な能力というものを活用できる、そういう社会をつくっていく。
今、副大臣の答弁の中には特段御指摘がありませんでしたけれども、団塊の世代が大量に離職をするという中にあって、これは量的な側面でも多分に大きな影響がありますけれども、やはり質的な側面において高度な技術の継承がなかなか難しくなっていく、あるいは各現場での現場力というものの継承がなかなか難しくなっていく、そういった質的な側面もあるのかな、そんなふうに思っているところでございます。
今、趣旨の御説明をいただいたわけですけれども、ここから少し個別の具体的な今回の取り組みについてお伺いをしてまいりたい、このように思っております。
まさに青少年、女性あるいは高齢者、障害者等、すべての方々に参加をしていただく、その中で今回一つの大きなテーマが、年齢制限を努力規定から義務規定化していく、そういうものであろうかというふうに思います。
この年齢制限にかかわる努力規定というものは平成十三年の改正で取り入れられた規定でございますが、当時の状況をちょっと見てみますと、あるいはまた当時の趣旨説明等々を見てみますと、やはり中高年齢者というものをまさに対象にしていたということであろうかというふうに思います。
まさに、バブルが崩壊をした後、とりわけ中高年者について、労働需給というか、有効求人倍率も低い、そしてまたなかなか求人も少ない、こういった中にあって、できる限り中高年の人たちを職場に復帰させる、あるいは雇用を与えるという意味においてこの年齢制限の努力規定というのが入れられたのかな、そういうような趣旨であったかというふうに記憶をしております。
今回、この努力規定が義務規定になった、こういうことでございますけれども、もちろん、努力規定が義務規定になったということについて、これは努力が義務になるということですから大変意義深いことであるというふうに思いますけれども、それ以上に、私は、今回の改正、むしろ、当初の努力規定の部分が中高年者を対象にしてきたというところからすると、条文の背景とか条文の思想というものが少しさま変わりをしてきていて、もう少し、中高年者だけではない、若年層、いわばフリーター、ニート、とりわけ年長フリーターといったような人たちも取り込んだような、条文が目指す背景が少し広がってきているのかな、こんなふうに認識をしておりますけれども、その点について御見解をいただければと思います。
○高橋政府参考人 平成十三年の雇用対策法の改正におきまして、募集、採用に関しても年齢制限を行わないことを努力義務といたしたわけでございますが、この当時の背景といたしましては、今委員御指摘にありましたように、特に当時厳しい雇用環境に置かれておりました中高年齢者の再就職を促進するということを主眼に行ったわけでございます。
現在の状況というものを考えますと、当時に比べましても少子高齢化が一層進んでおるわけでございまして、ただいま副大臣からも御答弁がありましたとおり、労働力人口の減少を抑え、経済社会の活力を維持増進させていくということが大変重要な課題になっておるわけでございます。
こうした中で、中高年齢者に限らず、女性、若者など、だれもが年齢にかかわりなく意欲と能力を最大限発揮して働くことができるようにする、こういうことが大変重要な課題になっておるということで、御指摘のとおり、募集、採用にかかわります年齢制限の禁止につきましては、以前にも増して大きな意義を有するものと私ども考えておる次第でございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
人口減少社会に入って、単に中高年齢層だけではなくて、幅広く多くの、各界各層そして各年齢、各世代に労働に参加をしていただく、そういう中に、この年齢制限の努力規定も、義務化をする中で対象も少しずつ広がっている、より重要になってきている、こういう御答弁だったかというふうに思います。
そういう中で、当初の努力規定だったときに、年齢差別禁止の中から除外をされる分野というものを指針という形で十項目にわたって提示されてきたわけでございます。当然のことながら、当初、中高年齢層を対象にしてきたそういう規定、その除外規定、除外の項目というものと、今度いわば義務化された後、この年齢制限の、省令に今度は規定がされるわけですけれども、内容は違ってきて当然かな、こんなふうに思うわけです。省令の規定の仕方について、あるいは省令で今どんなことを規定していこうかと考えていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。
○高橋政府参考人 現行の雇用対策法第七条の努力義務の例外として年齢制限が認められる場合ということで、年齢指針におきましては、具体的に、例えば新規学卒者等を募集、採用する場合、それから労働基準法など法令により特定年齢層の就業等が禁止、制限されている場合等々、十項目が定められておるところでございます。
今回の改正によりまして年齢制限禁止を義務化するに当たりましては、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合につきまして、厚生労働省令で規定をすることにいたしておるわけでございますが、この例外事由につきましては、企業の雇用管理の実態等も十分踏まえながら、やはり必要最小限の場合に限定する方向で検討をしてまいりたいと考えております。
○木原(誠)委員 企業の労働現場の実態を踏まえながら必要最小限にということですから、今この時代にあって年齢制限というものの重要性というのを踏まえますと、そういう方向でぜひ検討していただきたいな、こんなふうに思うところでございます。
そこで、民主党の方からは、この募集、採用における年齢制限ということについて、別途法律を一本立てて、御提案をいただいておるわけでございます。大きな違いは、民主党案の方は、年齢制限がかからない、除外をする項目について、まさに法律の中に四類型という形で示しておられる、こういうことだろうというふうに思います。
四類型ということについて、当初、今の厚生労働省の指針の中には十項目あるわけでございますけれども、労働の現場というのはなかなか、生き物だろうというふうに思いますし、とりわけ経済も生き物でございます、そういう中にあって、四類型に限定をしてしまって本当にいいのかなという思いがございますし、また同時に、法律の中に書き込んでしまうということについて、ちょっと硬直的に過ぎるのではないかなというような思いもございます。
この点について、硬直性ということについてどういう御見解を持っていらっしゃるか、お伺いできればと思います。
○山井議員 木原議員、質問ありがとうございます。お答えをさせていただきます。
日本におきましては、雇用環境の影響もあり、年齢という個人の力ではどうしようもないことで就業のチャンスを奪われている多くの若者、高齢者等がいらっしゃり、日本の経済の発展にとっても損失となっております。
少し早口で読ませていただきます、時間にも限りがあると思いますので。
年齢による差別を解消することは、多くの人々に就業のチャンスを保障するという意味で、大変意義深いことであります。政府の改正案におきましても、民主党におくればせながら、年齢差別禁止について現行法の努力義務規定を義務規定にする改正が盛り込まれているところでありますが、差別禁止の適用範囲が厚生労働省令により定められることとなっており、その内容によってはしり抜けになるおそれも否定できません。そういう意味から、民主党案におきましては、年齢差別の禁止の実効性を高めるために、その例外事由についても、必要最小限である四つの点に限定し、法案においてはっきり明示することとしたものであります。
具体的に言いますと、今までの政府の指針に入っていて民主党の法案に入っていないのは、新卒求人であるから、適正な年齢構成を維持するため、年齢給があるため、労働災害防止のため、体力、視力が必要なため、特定年齢層対象業務があるから、このような六つのことは入れていないんですね。
この趣旨をぜひ御理解いただきたいのは、余りにも例外規定、排除規定をふやしてしまうと、結局はしり抜け、ざる法になってしまいかねない。その結果として、現在のハローワークでの求人でも、五〇%ぐらいしか年齢差別が撤廃されているのがないわけなんですね。
そういう意味では、私は、先ほどの高橋局長の答弁を聞いていて、まさに民主党の考え方をおっしゃっているのではないかと。要は、必要最小限の除外規定であると。かつ、それを法案審議が終わってから厚生労働省に任せるのではなく、その除外規定をいかに少なくして実効性のあるものにするかということが重要である以上は、正々堂々と法案の中に最小限の項目というのは何かということを書き込んで、それで多いのか少ないのか、当然企業のことにも配慮しながら、まさにそのことを私は国会で審議すべきではないか、そのような思いで、この四つの点に絞らせていただきました。
以上でございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
おっしゃったとおりかなとは思いますけれども、他方でやはり、硬直的ということについては、今御答弁がなかったのかなというふうに思います。
つまり、当初この法で年齢制限が入った、平成十三年に。まさにそのときは中高年者を対象にしていた。今回は、もちろん中高年齢者も対象になりますし、すべての年齢の方が対象になるわけですけれども、その一つの焦点はむしろ、年長フリーターであるとか、若年者に少しずつシフトをしてきている。そういう中にあっては、常に、労働市場あるいは労働問題、雇用問題において、施策が必要となる年齢であったり分野であったりというのは、刻々と動いてくるんだろうというふうに思います。
そういう中にあって、法律で決めてしまうことについては、私は少し硬直的に過ぎるというふうに思います。つまり、省令で、その時代時代に合った年齢制限のあり方ということについては柔軟な対応をしないと、今回も対応がおくれてしまう、常に対応がおくれてしまうということについて、危惧をいたします。
その点について一つ御質問をさせていただきますと、今回、民主党の方からも、若年者の雇用ということについて焦点を当てて法案が出てございます。そして、年齢制限の撤廃もその一つの項目に入っているんだろうというふうに思いますけれども、今回の民主党の法案の四つの類型を見ておりますと、年齢制限の除外に入るものとして、高齢者、高年齢者雇用安定法の規定は引いておりますけれども、この四項目の中に、若者ということについては何らも指摘がない。この点について、私は、少し時代をとり損ねているのではないかなというふうに思いますけれども、その点について御意見をいただければというふうに思います。
○山井議員 まず、先ほどおっしゃった、民主党案の方が実効性が低いのではないかということでは全くなくて、まさに、先日の衆議院予算委員会に公述人で来られたキヤノンの請負労働であります大野さんもおっしゃっておられたように、やはりこの格差社会の犠牲者が今若者になっている。一度非正規雇用になったらなかなか正社員になれない、そういう部分というのは政府の労働の規制緩和によってなされたのであるから、政治の力で起こった雇用格差、若者排除の問題は、やはり政治の力で解決してほしいという強い御要望がございました。
そういう意味で、私たちは、まさに今おっしゃった点でありますが、若年者就労支援、この若年者の職業安定の法律を別個につくってやらないとだめだ、そのことによって、今まで政府がやっておられたジョブカフェとか、趣旨自体は否定しませんが、ああいうものを予算的にも人員的にもやはり大規模にやっていく必要があるのではないか。そういうことで、今回、若年者職業安定の特別措置法を五年の時限立法で出させていただきました。
○木原(誠)委員 済みません。余り民主党と議論をするつもりはなかったんですけれども、もう一点だけ。
今の私が質問したかったことは、今回義務化になっているこの年齢制限の、その中で法律で四類型を挙げていらっしゃる、その三項目めだったというふうに思いますけれども、高年齢者の雇用の安定に関する法律に基づいて、特定の年齢階層に絞る必要がある場合というのを例外事由として挙げていらっしゃる。私は、このフリーターとかあるいはニート、若者の雇用というものを考える場合には、むしろそこにしっかり焦点を当てて、その分野の人たちもその除外から外れるような規定も入れておくべきだろうというふうに思うんですね。
今度の政府案は、省令で今後これを決めていくことになると思いますけれども、当然のことながら、若者、フリーター等々についての除外の規定というのはこの省令の中に必要だというふうに私は思っております。ところが、この今の民主党案の方にはその規定がないものですから、そういう意味で、刻一刻と移る中にあって、例えば今の法案は高齢者にだけ特化したような形になっている、それで本当にいいのか、そのことについて御意見を伺いたい、こう申し上げているわけでございます。
○山井議員 今まさに木原委員が質問されたように、そのことは今後省令で詰めていくとか、そういう議論というのは、やはり本来、国会ではおかしいと思うんですね。
ですから、若年者の就労支援、今このロストジェネレーションという十五歳から四十歳未満の方々というのは非常に深刻な問題です。その認識は一致していると思いますが、だからこそ、五年間の時限立法で、今回、私たち民主党は、そういう意味では年齢を絞って法案を出しているわけであります。
イギリスでも、一九九六年に、保守政権が若者再出発プログラムというもので、今のジョブカフェのようなプログラムをやったわけですけれども、なかなか効果が上がらなかった、それはやはり予算と財源、人員配置が不十分だと、それで、ブレア首相が本格的に予算と財源を投入してやり出して、五十万人の若者の雇用創出ができたということがあるわけですね。
そういう意味では、私たちは、やはりこういう年齢層を絞った新たな法律をつくってやっていく、それも政府・与党のように地方自治体に任せるのではなくて、国が責任を持ってやっていく。実際、ジョブカフェの経済産業省の事業も三年間でもう終わってしまったわけですね、モデル事業が。あと地方自治体任せなわけです。やはり国の責任を示すということが非常に重要だということで、こういう法律をつくりました。
○木原(誠)委員 済みません。大分、すれ違いな答弁だなとちょっと正直思うんですけれども、最後にいたします。
端的に御質問いたします。要するに、二十代、三十代、四十代、フリーターの人たちだけを雇用するような、そういう募集、採用というものが今の民主党案の法律四類型の中では許されるのかどうかということについて、端的にお伺いをいたしたいと思います。
○山井議員 私たちは、この除外規定のところで、新規学卒者と同じように、その年齢にかかわらず均等な機会を確保していくためということで今回の法律をつくっているわけです。それで、新卒だけを優遇しないということを禁止すればそれで十分だというふうに民主党案では考えております。
○木原(誠)委員 ということは、少なくともフリーターやニートを対象として、そこに特化をしたような募集、採用をかけるということ自体は、この四類型では認められていないというふうに解釈してよろしいですか。
○山井議員 それは今も答弁しましたように、新卒に限った採用、そういうものに関してやはり民主党案としてはよくないと考えて、年齢差別の撤廃をしていく、そういうことであります。
○木原(誠)委員 必ずしも一対一の明確な答弁にはなっていないと思いますけれども、これ以上突っ込んでもあれだと思います。
私が申し上げたいことは、例えば、今本当にニート、フリーター対策が重要だ、こういう時期にあって、国の施策としてニート、フリーターを中心に雇ってくださいということを事業主にお願いをする、そのときに、この年齢制限の撤廃、義務化になるわけですから、その部分がひっかかってしまうようでは、施策は進んでいかないんだろうというふうに思います。
そういう中にあって、省令に規定をしていく、省令の中で、そのときそのときの状況、そのときそのときの政策課題でこれを抜いていくということは、私は、大変に臨機応変な対応をするという意味では重要だ、こういうふうに思っておりますので、認識が多分共有できていないというふうに思いますけれども、この硬直性というものについてはしっかりと指摘をさせておいていただきたい、こんなふうに思っております。
どうぞ。
○山井議員 もう長くは答弁しませんが、認識は一緒なんですね。ロストジェネレーションの世代を、これは政治の責任、国のリーダーシップで何とかせねばならない。だからそのためには、やはり予算と人員配置をきっちり、大胆に、緊急的に、時限的にでもいいからやっていくという国家の意思を示す必要がありますし、そのための根拠になる法律をつくらないとだめだと思うんですね。
そういう意味では、私は、木原議員がおっしゃっていることをまさに実現したのが民主党のこの若年者の就業安定支援法だというふうに思っております。
○木原(誠)委員 法律はつくっているんです。それから、若年者に対する雇用を確保していくための方策は、政府もやっているんです。その中で、私が申し上げたいことは、そこまでやられるのであれば、本来は、この年齢制限撤廃という中に、高年齢者の雇用の確保の安定等のためという高年者のための法律だけではなくて、なぜ、では若年者の雇用のための法律もちゃんと書いておかないのかということを申し上げているんです。
本来であれば、この年齢制限というものは若年者についてもきいてくるわけですから、その部分も抜いておくべきだろうというふうに思います。法律で書くということはそういうことで、すべてのところをしっかり見て、どの部分に必要か必要でないかということをしっかり書くということが必要だろうというふうに思っております。
政府案の方は、そのときそのときの状況に応じて、これは省令の中で、まさに皆さんの中で議論をして書けるわけですから、私はそれでいいんだろうというふうに思いますけれども、法律に書くということはそういうことであって、今回、まさに若年者が対象になっているときに……(発言する者あり)法律はつくっているんです。それとは逆のことを、私はそれとは関係ないことを言っているんです。年齢制限の中でなぜそれを抜かないのかということを申し上げているんです。(発言する者あり)
○櫻田委員長 御静粛に。
○木原(誠)委員 では、端的にもう一度お聞きします。年齢制限の中で、なぜ若年者を抜かないんですか。新卒者だけを……(発言する者あり)違うんです、新卒者だけを対象にしていればいいんだという答弁は、これは別なんです。高齢者という一群があり、それからフリーターという一群がある。新卒者だけを抜けばいいという議論をし出すと、高年齢者だけを抜く必要もなくなっちゃうんです。おわかりですか。
新卒者だけを抜けば済むんだという議論をしたら、高年齢者に特化をした除外規定を設ける必要すらなくなっちゃうんです。それは、もう議論はそこでとまっちゃうんです。新卒者だけがよければいいというわけではないんですね。
ですから、高年齢者に対する除外規定を設けているんであれば、当然のことながら、若者に対する除外規定も設けてしかるべきだ、このように思いますけれども、なぜ設けていないのか、その点についてお伺いをいたします。
○山井議員 改めて答弁申し上げますが、新卒者に限るということ、それをなくすということで私たちは十分だと考えておりますし、ぜひ御理解いただきたいのは、年齢差別を禁止する法律と若年者の職業安定の法律をセットで出した理由はそこなんですね。だから、まさに一番危機的な問題がロストジェネレーションの問題だということで、この新たな法律をつくって、出しているわけですよ。
ですから、ロストジェネレーション、まさにニート、フリーターを対象とした法律を出しているということが、民主党としてその部分を重視しているという最大のあらわれになっております。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
直接的な御答弁がいただけなかったと思いますので、これで終わりにしたいというふうに思います。法案を出していることはもちろん認識をしております。
そのことで政府の方にお伺いをいたしますけれども、若者の雇用の量の確保という観点からいいますと、今回、雇用の機会の拡大というものを図ろうというふうにされております。この雇用の機会の確保という言葉は少しわかりづらい面があるな、このように思いますけれども、いわば雇用の機会の確保の一つの類型が年齢制限の撤廃ということになるんだろうというふうに思いますから、義務規定にするということで一つの手当ては済んでいるのかなというふうに思います。
それ以外に、この雇用機会の確保ということでどんなことを具体的に想定されているのか、御答弁いただければというふうに思います。
○高橋政府参考人 私ども、今回御提案申し上げている雇用対策法の改正案におきましては、今御議論にもございました募集、採用における年齢差別の禁止の義務化に加えまして、若年者をめぐる非常にさまざまな問題、特に、いわゆる就職氷河期に正社員となれずにフリーターにとどまっておられる年長フリーターの方々の就職支援を強化していくということが大変重要な課題になっている。他方、年齢が高くなりますと、正社員としての雇用機会も大変少なくなってくる、こういう実態があるわけでございます。
こうしたことを踏まえまして、今回、年長フリーターを初めといたしました若者の安定した雇用を促進する、こういう観点から、青少年の、つまり若者の能力を正当に評価するための募集、採用方法の改善でありますとか、実践的な職業能力の開発、向上といったような措置を講ずることによりまして、雇用機会の確保が図られるようにする、こういうことを事業主の努力義務という形で規定をさせていただいたところでございます。
○木原(誠)委員 人物本位の採用が図られるようにする、全くいい、すばらしいことだろうと思いますけれども、現状では、大企業もそしてまた官も、なかなか人物本位の採用というのは難しい面も実はあるんだろうというふうに思います。
そういう意味で、とりわけ、今度努力義務になるということであれば、中小企業者にとっては、採用の過程が変わっていくということは大変に負担の大きいことだろうなと思いますけれども、中小企業者に何らかの支援といったものを考えていらっしゃるか、御答弁いただければと思います。
○高橋政府参考人 今申し上げました努力義務に関しまして、今回の改正におきましては、あわせて、国は、事業主が適切に対処するために必要な指針というものを策定することといたしております。これに基づきまして、私ども、ハローワークを中心に必要な助言、指導を行うなど、若者の雇用機会の確保を実効あるものにしていきたいと考えておるわけでございますが、この指針策定に当たりまして、やはり中小企業等におきましても、その実効性が上がるものにしていくということが大事でございます。
そういう意味で、中小企業の募集、採用の実情に通じました労使関係者の参画をいただいております労働政策審議会におきます議論等も踏まえまして、この指針を適切に策定していきたいと考えておるところでございます。
○木原(誠)委員 ありがとうございました。
ぜひ、本当に目配りのきいたそういう指針、そしてまた周知徹底というのをしっかりやっていただきたい、このように思います。
もう時間も限られていますけれども、最後にいたします。
今回、雇用対策基本計画をやめる、こういうふうになっております。経済計画との連動性がなくなったというのを、御説明でレクに来ていただいた方からお伺いをいたしました。ただ、やはり、今まさに人口減少社会に入って、質、量両面にわたって雇用環境を整備していくというのは、かつてに増して大変重要な局面に来ているというふうに思いますので、何らかの計画あるいは指針というものを出していただく必要があると思いますけれども、今後どういうふうに取り組んでいかれる所存か、お伺いをいたします。
○高橋政府参考人 雇用対策基本計画でございますが、これは今委員御指摘になりましたような理由によりまして、固定的な期間を定めての計画を示す実効性が薄くなった、低くなった、こういうことで終了させていただくわけでございます。
政府としての中長期的な雇用対策の基本的な考え方というのは、経済財政諮問会議で御議論をされます「進路と戦略」において示されておるところでございますが、厚生労働省といたしましては、具体的に実施をいたします施策の方向性につきましては、この「進路と戦略」を踏まえつつ、本改正法案で規定をされました国が講ずべき施策に即しながら、中期ビジョン、これは仮称でございますが、中期ビジョンという形で策定をし、公表をしてまいることを検討したいというふうに考えております。
○木原(誠)委員 これで終わりにします。ありがとうございました。
○櫻田委員長 次に、福島豊君。
○福島委員 引き続いて、労働法制の議論が行われているわけであります。
全般の議論を伺いながらつくづく感じることをまず申し上げたいと思うわけでありますが、労働法制というのはなかなか難しいものだなというのが私の率直な感想でありまして、なぜ難しいかというと、一律に法律で定めるということで、直ちにそのとおりの結果が出るかどうかというわけでは必ずしもないというのが労働法制の世界なんだろうというふうに思います。
基本的には、労使の関係というのは自主的なものである。その中にあって、一定のルールをつくることが当然経営のあり方にも影響を与えるわけであります。また、雇用のあり方にも影響を与える。それは、プラスの面とまたマイナスの面が同時にあるということを複眼的に見ながらやらなければならないというのが実態なんだろうと思います。仮に、理念としては非常にすぐれていたとしても、それが現実に法として成立したときに、どのようにまたそれに対して経営者側が対応するか、こういうことも当然想定しながらやらなければならないというのが現実だと思います。
そしてまた一方で、さまざまな形で非正規雇用の問題が取り上げられておりますけれども、バブルが崩壊した後に、日本の企業の競争力ということが鋭く問い直されたわけであります。三つの過剰とよく言われますが、雇用の過剰、また設備投資の過剰、債務の過剰、この三つの過剰というものを解消するプロセスで、日本の企業が再びその競争力を回復してきた。このこともまた紛れもない事実でありまして、今後さらに、中国またインド、BRICs諸国の台頭の中で、日本の企業が国際的に大変厳しい環境の中で生きていかなきゃいけない。そのときに、企業の競争力というものをどう支えるのか、こういうことも同時にまた考えなければならないわけであります。
こうした非常に複合的な要素、そしてまたもう一つは、日本自身が人口減少社会に突入しまして、労働力人口そのものが減少している。そういった背景を踏まえながら、どういう施策、またどういう法律をつくることが最も適切なのか。これは決して、ストレートフォワードと言うんですかね、単純な議論だけでは済まない部分があるんだろうというふうに認識をいたしております。そうした点も含めて、国会での議論の中で審議が深まっていくということを期待するわけであります。
そういった思いを持ちつつ、何点か雇用対策法の改正案等につきましてお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
今般の改正の理由、また趣旨としまして、人口減少が今後見込まれる中で、それに的確に対応した雇用政策を行っていかなきゃいけない、そういう必要があるということでありますけれども、今後の労働の供給についてどのように今見通しをしているのか、この点についての政府のお考えを確認したいことと、また、それに対してどのような雇用政策を今後中期的に展開をしていくのか、この点について、まず基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
○武見副大臣 今後の労働力人口の見通しについてでございますが、二〇〇五年七月の雇用政策研究会、これは職業安定局長のもとに置かれた私的諮問機関で出したものでございますが、ここでの労働力率に基づき、新しい将来推計人口を用いて試算を行いますと、二〇三〇年の労働力人口というものは六千万人程度となるものと見込んでいるところでございます。
厚生労働省といたしましては、労働力人口の減少を抑えつつ、経済社会の活力を維持増進させるためには、若者、女性、高齢者など働く意欲を持つすべての方々の就業参加を実現していくことが極めて重要と考えております。このために、人口の減少下における就業促進を目的とした本改正法案を踏まえまして、各般にわたる雇用対策の実施に努め、より多くの国民の就業参加の実現を図っていくという考え方でおります。
○福島委員 そうした大きな変化に機動的に対応する、これが政府に一番求められていることだろうというふうに思います。
六百七十万人の団塊の世代が二〇〇七年よりは六十歳になります。また、二〇一二年には六十五歳に到達することと見込まれております。ただいまも副大臣から御答弁ありましたように、人口減少に伴いまして労働力人口が今後減少していくことが見込まれる中にありまして、特に団塊の世代を含めた高齢者の方々にできるだけ社会の支え手として活躍し続けていただくことが、日本の社会の活力を維持していくためには何よりも必要なことだというふうに思います。
我が国の高齢者の就労意欲は欧米各国と比べても高い水準にある、このように認識をいたしておりますけれども、政府といたしましても、意欲のある高齢者の方々が働けるように、高齢者の雇用対策に取り組んでいく必要があるわけであります。
そこで、今回の改正におきまして、国の実施すべき施策として、高年齢者等の就業促進、このことが明記をされておりますけれども、具体的にどのような施策を講じていくのか、その点についての御説明をいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 少子高齢化による労働力人口の減少が見込まれる中で、働く意欲を有する高齢者の方には存分に働いていただいて、社会の支え手として活躍し続けていただくということが大変重要な課題であるわけでございます。
このため、一つは、現在の高年齢者雇用安定法に基づきまして、各企業におきます定年の引き上げ等、六十五歳までの雇用確保措置につきまして円滑な導入を図っていただく。また、今後は、今御指摘のございました団塊世代の動きということも踏まえて考えますと、七十歳まで働ける企業の実現に向けまして、企業の先進事例の収集、提供でありますとか、事業主に対します相談、援助を進めてまいりますほか、七十歳まで働ける企業に対する奨励措置というものを創設するなど、各般の施策を講ずることといたしているところでございます。
これに加えまして、今回の改正法案におきまして、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向けまして、労働者の募集、採用にかかわる年齢制限の禁止について、これを義務化することといたしているわけでございます。
これら施策を通じまして、高齢者が意欲と能力のある限り幾つになっても働ける社会の実現に向けて、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○福島委員 今の御答弁はそのとおりで、しっかりやっていただきたいと思います。
個人的な思いを申し上げますと、幾つまで企業で働き続けるかということも大事なんでありますが、団塊の世代の方々には大いに、第三の人生といいますか、みずからの働き方そのものを変えていくということも求めたいなというのが私の思いでございます。日本の戦後、会社人間という言葉がありましたけれども、会社の中だけで働くということではなくて、多様な働き方が恐らくあるんだろう。そしてまた、これだけの人口集団でございますから、日本の社会の働き方そのものを変えるような流れをぜひ団塊の世代に私は期待をしたいなというふうに思います。
例えば、NPO法人で働く、こういう働き方もあるでしょうし、みずから起業する、こういう働き方もあるでしょうし、多様な働き方が恐らくあるんだと思います。また、企業の中で引き続いて就労するにいたしましても、そこでもまた、働き方の多様性があるんじゃないか。そういう一つの先進的な取り組みを支援していく、こういうことによって、日本の社会のあり方そのものも変えていくだけの力になっていただきたいなというのが私の率直な思いでございます。
ただ、その中で、やはり企業には、年齢にかかわらずお元気な高齢者の方はたくさんおられるわけです、または技能の継承ということもあるわけでございますから、積極的な取り組みを促すように政府としては頑張っていただきたい、そのように思うわけであります。
続きまして、高齢者の就業だけではありません、まさに日本の国民が、全員参加と言ってはあれですけれども、国の活力を維持するために、働ける人はしっかりと働いていただく、そのためには、若者、また女性、障害者等々の方々の就業促進というものもこれまで以上に重要な施策となることは間違いがないわけであります。
安倍政権の最重要課題の一つでありますところの再チャレンジ支援、また成長力底上げ戦略についても、実効性を高めていく必要があります。そして、こうした障害者の方々でありますとか女性の方々でありますとか、さまざまな立場がありますけれども、その就労というものを支援していくために、ハローワークというものが非常に重要な役割を担っているわけであります。企業に対して積極的な働きかけを行う、また、障害者や生活保護受給者などの就職支援に際しましては、福祉関係機関とも連携を図ってその取り組みを進めていく、こういう多様な、ある意味で非常にパブリックな役割というのがハローワークにはあるわけであります。
ハローワークがこうした雇用対策において果たすべき役割は今後ますます大きくなっていく、私はそのように思いますが、一方で、昨今、規制改革、民間開放ということで、ハローワークの包括的な民間委託をやってはどうか、こういう議論がなされているわけであります。
これはILO条約との関連等々からやはり慎重に検討すべき課題であるというふうに私も認識をするわけでありますし、今申し上げましたように、今後、障害者の方々であるとか、さまざまな立場の方が就労していく、その流れをきちっとつくっていく、そこでかなめとなる役割を果たすのがハローワークである、そういう認識を持っておりますので、ハローワークについて、セーフティーネットとして、職業紹介はもちろん、雇用保険も含めたさまざまな雇用対策を全国的な体系で一体的に運営していく、このことは今後もしっかりと堅持をされる必要があるだろうというふうに思うわけであります。
その中で、一方で、民間にゆだねられるものはゆだねていく、こういった改革も進めなければなりませんけれども、基本の骨格をどうするか、これは政府の考え方の一番土台になるところでございますから、それについて副大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○武見副大臣 ハローワークが一体的